2024年4月1日から親会社、豊田通商の自動車薄板事業との統合が決まった豊田スチールセンター(本社=愛知県東海市、斉藤尚治社長)。本年度からさまざまな職種で複数の女性総合職が活躍し、サプライチェーン統括部運輸グループ加工材チームチームリーダーの松久章子さん、同部倉庫グループ入荷管理チームチームリーダーの麥生雅子さん、次世代創生室主任職の鈴木香葉さんも新たなキャリアを歩みだした。入社のきっかけや業務内容、業界の印象などについて聞いた。
――自己紹介を。
松久「新卒で1993年に入社しました。異動なく、同じ業務に携わっています」
麥生「私も新卒で2003年に入社、一貫して同じ部署で働いています」
鈴木「同じく新卒で04年に入社し、最初は情報システム部で1年半勤務していました。その後人事部に17年半いた後、現在の次世代創生室に所属しています」
――業務内容は。
鈴木「次世代創生室は昨年4月に新設された部署で、2040年までを見据え会社の将来像を具現化する活動を行っています。5人のメンバーでいろいろな企画・発信をしています」
松久「お客さまからの注文を社内情報に置き換え、製品の出荷指示業務を行っています。製品の入口と出口の担当です」
麥生「北海道から九州まで、トラックや船で全国から届く鋼材を受け入れ、在庫管理しています。」
松久「私が加工品、麥生さんが保管材の担当。密接につながっています」
――総合職に転換。
鈴木「一般職の時は、名刺を頂くことはあっても自分から渡すことがなかったので、改めて名刺の渡し方から学び始めました。ビジネス文書も自ら勉強し始めました」
松久「名刺は遠い存在だったので、渡すという認識がなかなか持てなかったです(笑)」
麥生「私も同じですね」
――業界の現状を。
鈴木「インタビューを受けるにあたり社内の男女比を調べたのですが、男性が8割と圧倒的に多い。インターネットで鉄鋼業界を検索しても『男社会』と出てきます」
松久「何となく、男性からしても『女性にはしんどいんじゃないの』という気持ちがあるんでしょうね。働いていて、そのように思われているなと感じることが時々あります。古い風土なのか男性社会だからかは分かりませんが、現業職においては職場環境を変えれば女性も働きやすくなるのではないかと思います」
麥生「豊田スチールセンターは50年という古い歴史があるのに加え、ハードワークな印象も強いですね。古さに関しては例えば、カーボン紙が4枚も5枚もついている納品書を使用する際に、そろそろ変わってもいいんじゃないかと感じます」
松久「こんなデジタル社会なのに……早く変えていかなくてはと思いますね」
――女性に増えてほしいか。
麥生「増えてほしいですね。男性に比べると体力面で劣りますが、女性ならではのコミュニケーション能力や考え方、視点などで気付かされることも多いんじゃないかなと」
鈴木「増えるべきだと思います。昨今は多様性、ジェンダーレスの時代なので、女性とカテゴライズするのが正しいか分からないのですが……。現状、私たちの会社は工場も事務も女性が少ないので、もっと増えてほしいですね。特に現業職。今は男性しかおらず『ハードだ』と聞く機会があります。仕事に男女の違いはないと思いつつ、誰もが働きやすいように環境整備はしっかりするべきではないかと。大学卒の女性総合職もまだまだ少ないので、増えてほしいですね」
松久「どうでしょうか。ハードな現場ではあるので、それを分かった上で入社されるのであれば良いかと。個人的には、もう少し若かったら現業職をやってみたかったという気持ちがあります。現場に行く機会が増えてから、面白そうな仕事だなと思うようになって。暑さに耐えられるか不安ですが」
鈴木「今は大型ファンや空調設備も数多く導入されているのできっと大丈夫ですよ!」
――今後の展望を。
鈴木「まだ部署が変わって1年弱なので、まずは次世代創生室で与えられた仕事を一つ一つ達成してくのが目標です。今後、管理職としての仕事をさらに覚えることができたら、上へのステップを歩んでいきたいです」
麥生「ずっと同じ部署にいても知らないことがまだまだ多いです。総合職になってから現場に行く機会が増え、さらに知識を増やしたいと思うようになりました。たくさん経験を積み、多角的な視点で物事を考えられるようになりたいですね」
松久「事務は経験が物を言う部分がありますが、特定の人しかできないのではなく、全員が同じ業務をできるようにすべきだと考えています。作業の見直しや標準化を行い、仕事しやすい環境づくりを行っていきたいです」(芦田 彩)
鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。