住商メタルワン鋼管では、2016年採用から女性総合職の募集を開始した。配管機材本部関西・中国配管営業部大阪配管第一チームの若色里華さんは翌年の2017年に入社。大阪支社初の女性総合職となった。普段見えないものを扱いたいという思いから鉄鋼業界を選んだ若色さんに、入社までの経緯、業務内容、今後の目標などについて聞いた。
――入社までを。
「埼玉県出身で、大学では臨床心理を学んでいました。卒業論文は『性格とストレス差』。民間資格の認定心理士も取得しています」
――就職活動は。
「最初はシステム系、SEの営業を志望していました。次第にメーカーや商社にも興味が出てきて。せっかくなら今まで知らないもの、やったことのないものを扱う会社がいいなと。高校・大学時代にずっとコンビニでアルバイトをしていたので、BtoBの仕事がしてみたい思いもありました」
――決め手を。
「もともと機械をいじるのが好きで、部品など人に話しても通じないようなマニアックな分野に焦点を絞るように。ATMや立体駐車場のメーカーなど幅広い企業を見る中で鉄にたどりつきました。メタルワン鋼管(現住商メタルワン鋼管)は面接がとんとん拍子で進み雰囲気が合うなと感じたんですよね」
――鉄の知識はなかった。
「学生時代は全く何もなかったですよ(笑)。当時は女子の間で工場夜景が流行っていたので、会社の説明会でもらった資料を見て『こういうところに製品を供給するのか』と。商社の仕事自体もイマイチよく分かってなかったです。建築物に構造用鋼管が使われていると聞いて、見えない部分を仕事にしたかったので印象に残りましたね」
――17年に入社。
「同期は総合職のみで、男女ともに3人ずつでした。最初は配管機材本部関西・中国営業部大阪支店配管営業二課(19年から大阪配管第二チーム)に配属。大阪府内で店売りを中心にパイプと継ぎ手を担当し、一部プラント工事の業者さんにも販売していました」
――驚いたことは。
「取引先の女性の少なさにびっくりしました。どこに行っても『よく入社したね』と言われていましたね。今は女性増えつつありますけれど。女性の営業職をどう扱ったらいいのか、どこまで話したらいいのか、探り探りで接せられているのをビシビシ感じました。また入社時は関西弁が分からなくて。『~やんか』とお話される方が多いのですが、関東では『か』は疑問形なんですよ。だから質問なのか何なのか混乱しました。『まいど』はいまだに意味が分かってないです(笑)」
――先輩に恵まれた。
「大学卒業までずっと関東で実家暮らしだったので、関西での生活も一人暮らしも初めて。また私が入社する前年の16年入社から女性総合職の採用を始めたので、私は2代目(笑)。女性総合職が大阪支店(現大阪支社)に配属されるのは私が初でした。関西に友達が1人もいない状況でしたが先輩に恵まれて。他部署で年齢の近い女性一般職の先輩方が飲み会や休日の遊びに誘ってくださいました」
――鉄の知識も学んだ。
「関西物流センターという倉庫があり、パイプの種類、フランジ、継ぎ手などを直接見ながら教えてもらいました。配管はインチ、呼称といったサイズ表記も難しかったですね。鉄鋼メーカーの製鉄所にお伺いしたことも。迫力があるな、熱いなと思ったのを覚えています」
――20年に異動。
「20年4月に現部署に異動しました。直需部隊ですね。工場をいったん停止させて部品を総入れ替える定期修繕への配材供給対応を行っています。私は化学プラント、浄化センター、ごみ焼却場向けなどを担当。北海道から沖縄まで現場に出向きます」
――働いて感じた業界の印象は。
「古いな、男性社会だなと思いますね。地方配属の場合はフォークリフトの運転やデリバリーも営業担当者が行うので、現時点で女性はいないです。入社直後は誰に相談したらいいんだろうと悩むこともありましたが、今となっては男性社会だからと戸惑うことはありませんね。皆優しくて働きやすいですから。今は女性の後輩の相談に乗ることもありますが、私の経験を話すことで役に立っているかは分からないです」
――ライフプランについて。
「結婚した後どう働くのか想像がつかないですね。会社を辞めるつもりはないですし。産休・育休となったとき、担当企業はどうするのか、復帰までのギャップに対応できるのか。転勤があったらどうするのか……。まだ私からすると非現実的ですが、いつか考えなければと思います」
――女性に増えてほしいか。
「とてつもない要求や手厳しい方も多いですから向き不向きがあるとは思います。忍耐力と計画性のある方が来てくれたらいいですね。私たちの場合、商社でありながら問屋の機能もあるので、ヘルメットと作業着姿で現場に行くことも。それが嫌な方は入らない方がいいかもしれません」
――今後の目標を。
「いつか東京で今と同じ配管の仕事をしたいですね。首都圏と地方では契約の規模が違うので、いろんな品種を担当しながら大きな金額が動くプロジェクトを経験してみたいです。また海外メーカーの新しい商材を勉強中で、いつか受注できるようになりたいです」
(芦田 彩)
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