2023年8月1日

鉄鋼業界で働く/女性営業職編/インタビュー(下)/若者が入りたい業界に

住商メタルワン鋼管九州支店(福岡市博多区、石川真人支店長)で、プラント向けの営業を行っている奥平真由さん。鋼管事業・特殊管本部九州商事チームに所属し、仕入れ先とユーザーの間に立ってさまざまな業務をこなしている。仕事のやりがいや現在の業務内容、働き方や今後の思いなどを聞いた。

――やりがいを。

「業界に限ったことではありませんが、仕入れ先とユーザーの間という立ち位置なので、どのような進め方がふさわしいかなど先を考えるのが楽しいです。板挟みになって大変なこともあるけれどそれは割り切っていて。お客さまは既存の方が多く、商流も限られているのですが、その中で会話を続けて新たな可能性を広げていることにもやりがいを感じます。カーボン製だけを使われていたお客さまに、ステンレス製も買っていただいてみたり、『これ、うちでもできますよ』とご提案してみたり。コミュニケーションを深める意味でも必要だなと感じます」

――苦労は。

「メーカーが作った商品を売っているのですが、お客さまからの問い合わせで新たに知ること、学ぶことも多いです。今も勉強中です。また女性だからという理由で敬遠されるのは嫌なので、『売りに来ています』という姿勢を強く出していますね。会話はするけれど、男性も、女性の営業職と話しているとよく思われない部分もあるかもしれないですし……。お客さまもその点を分かってくださっているように感じます。良くも悪くも覚えていただきやすいので、営業としては得かもしれません」

――現在の担当を。

「22年4月から、鋼管事業・特殊管本部九州商事チームに配属され現在に至ります。石油化学などのプラント向けで、パイプの種類が増加。担当エリアも拡大しました。以前は汎用品を多く扱っていたのですが、『これを作れるか?』というご提案から始まる仕事も増え、メーカーとユーザーの間でバランスよく業務をこなしています。他部署からの引き合いや見積もり、お客さまからメーカーにつないでほしいという依頼もありますね」

――ライフプランについて。

「結婚して仕事を辞めるのはもったいないなと思いますね。もしいつか結婚して育休や産休を取得する時が来たら、知識や実績、人間関係など、小さなことでも良いので人の印象に残って、帰りやすい場所づくりができたら、本人にも会社にもいいなと思いますね。企業にもよりますが、今は副業ありきの時代になっています。選択肢が多くあると気持ちが楽かもしれません」

――働き方が変化している。

「新型コロナウイルスの影響で変わってきていますが、男性社会で平均年齢層が高いのも事実。固定観念のある方が多いように感じますね。男性の育休整備が進んでいますが、まだ特別扱いされるように感じます。家庭の事情などで特別休暇が必要になったら――と想像すると、私も特別扱いされるのでは感じて戸惑うと思います。柔軟に対応できる業界になってほしいですね。社内外の身近な同世代で、退職して業界を離れた方も少なくありません。人手不足が深刻な課題となっていている業界であるからこそ、人材定着に向けた努力も業界全体でしていかなければと思います」

――女性が増えてほしいか。

「どちらでもいいと思いますが、増えた方がバランスは良くなるのかなと感じます。女性というより、男女問わず若い世代に増えてほしいですね。今までの人生はほとんど下っ端であることが多かったので、もし後輩ができたら一緒に切磋琢磨したいです。後輩から良いところを見習ったり、自分にはない考え方を知ったりしたいです」

――業界にどう変わってほしいか。

「時代の変化もあって泥くさい仕事はあまりないと思うのですが、かと言って明るいイメージはないと思うんです。特に商社は工場のように煙がモクモクしている場所ではないけれど、気軽に入れる感じもしないのかな、と。お堅い印象も強いと思います。働き方でもお話したように、もう少し柔軟な印象になれば。他業界と変わらないよ、気軽に入れるよと伝えたい。若い世代が入りたいと思うような、柔軟な業界になってほしいです」

――今後の目標を。

「今後も九州で営業を頑張っていきたいです。パイプによって自動車用、配管、特殊管などさまざまな種類があり、それに合わせた部署があります。社内外問わずいろんな引き合いがあるので、今のうちに知見を広めたいです」(芦田 彩)



鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。

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