2023年6月19日

鉄鋼業界で働く/女性営業職編/インタビュー/自社ファンを増やしたい

淀川製鋼所営業本部営業二部近畿ブロック大阪営業所で、物置などのエクステリア商品の販売に奮闘する女性営業職がいる。2016年入社の井上莉菜さんだ。人と関わる仕事に憧れ、家族からの後押しで同社に入社した。就職活動やこれまでの業務内容、ライフイベント、女性が働くことへの思いなどを聞いた。

――入社までは。

「立命館大学文学部教育人間学専攻で、心理学などを学んでいました。人と密接に関わる仕事がしたいと思っていましたね。淀川製鋼所の存在は就職活動時まで知らなくて、入社試験について家族に伝えると両親や祖母が社名を聞くなり『あのヨドコウ?』びっくりしていて(笑)。反響に驚き、受ける上での後押しになりました。面接ではフィーリングが合うと感じましたね。他企業と違って一人一人の考えや内面を見てくれている質問が多く、コミュニケーションが取りやすいと。好印象を持ちました」

――入社後は。

「16年に入社しました。同期は計17人で、女性総合職は私を含め2人でしたね。最初の配属先は神戸営業所で、メンバーは所長含め営業職5人、一般事務職2人の計7人。所内の女性営業職は私だけでした。一般ユーザー向けの物置などエクステリア商品を扱う代理店の担当で、兵庫県全域が管轄。上司の営業に同行し、見て学んでいきました」

――男社会だった。

「代理店や商社など、取引先の営業担当はどこに行っても男性ばかり。建設現場ではトイレも男女兼用です。アウトドアやキャンプが好きなので抵抗はありませんでしたが、本当に男性社会だなと実感しました。そのような環境もあってか、上司は非常に体調やメンタルを気遣ってくださり、現場の打ち合わせやクレーム対応に行く際は逐一連絡してくださいましたね」

――驚いたことを。

「対応の速さを求められることですね。問い合わせや見積もり依頼に対する回答はスピードが最優先だと感じています」

――大変なことは。

「仕事を始めたころは『何でこの業界で働こうと思ったの?』『現場に近いほど女性に好意的でない人もいるよ』『大丈夫?』と興味本位や心配のお言葉をいただくことが多かったです。また、初めは取引先に商品や施工に関する質問をされても分からないことばかり。現場に資料を一式持って行って、その場で答えられないことはいったん持ち帰り、当日中に返答するよう心掛けました」

――うれしいことを。

「ゼロから働きかけて、図面折り込みから見積もり、受注、完成――という一連の流れを担当し、お客さまから『ヨドコウで建てて良かった』と言っていただけた時ですね。物件の受注は大型案件だと2―3年、小型案件でも1年掛かることがあります。自分の仕事に感謝していただけていると実感でき、うれしくなります」

――印象的な業務は。

「昨年、計画当初から担当していた現場に大型倉庫を8棟納入しました。代理店だけでなく、設計事務所やゼネコンとも何回も打ち合わせを実施。工場の進捗状況を随時フィードバックするなど大変だったのですが、大きな仕事に取り組むことができやりがいを感じましたね。納入後、紙の図面でしか見ていなかったものが現実になっていくのを目にし『面白い! すごい仕事だ!』と感激しました」

――現在の担当を。

「営業所の統合に伴い、21年9月から大阪営業所に異動しました。扱う商品はそのままで、営業範囲が三重県以外の近畿全域へと一気に拡大。車での遠距離移動が増え、引き継ぎの際には取引先の携帯番号の登録が100件以上増えました」

――日常にも変化が。

「街中にある自社商品をついつい探すようになりました(笑)。高速道路のインターチェンジなどで見かけると、『レアな物置だ』『50年近く使ってくださっているな』と心の中で感じています。テレビドラマで背景に偶然写り込んでいるのを発見することも。最近帰省した際には、実家の真裏でも見かけました(笑)。自社商品を見つけるとうれしくなります!」

――結婚されている。

「3年前に結婚しました。営業所の女性総合職はライフイベント経験者の実例がほとんどなく、不安はゼロではありません。でも自分がモデルケースになることで、後輩へ将来のビジョンを見せてあげられるのではと感じています」

――女性管理職について。

「同じ営業二部の東京営業所に、女性営業職で管理職に就いた先輩が1人います。いつか私も就く機会をいただけるなら、女性が働きやすい環境づくりなどに取り組みたいですね。意識していなくても、男性営業職と女性営業職で違いはあると思うので……」

――業界にどう変わってほしいか。

「新型コロナウイルス禍で在宅勤務が普及し、働き方改革がずいぶん浸透したように思います。DXなどが進むことで鉄鋼業界全体がさらに働きやすくなるのではないでしょうか」

――今後の目標を。

「『メーカー指定がなければヨドコウに頼むと決めている』と言ってくださるお客さまが増えていて、やりがいにつながっています。営業担当者として、ヨドコウのファンの方を増やしていきたいですね。今後もお客さまと密接に関わる仕事を続けられたら。人と関わるのが好きなので、将来的に人事や採用の仕事にも興味があります。機会があれば関わってみたいです」(芦田 彩)



鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。

スポンサーリンク


九州現地印刷を開始

九州地区につきましては、東京都内で「日刊産業新聞」を印刷して航空便で配送してまいりましたが、台風・豪雨などの自然災害や航空会社・空港などの事情による欠航が多発し、当日朝に配達できないケースが増えておりました。
 こうした中、「鉄鋼・非鉄業界の健全な発展に寄与する専門紙としての使命を果たす」(企業理念)ことを目的とし、株式会社西日本新聞プロダクツの協力を得て、12月2日付から現地印刷を開始いたしました。これまで九州地区の皆さまには大変ご迷惑をおかけしましたが、当日朝の配達が可能となりました。
 今後も「日刊産業新聞」「日刊産業新聞DIGITAL」「WEB産業新聞」によるタイムリーで有用な情報の発信、専門紙としての機能向上に努めてまいりますので、引き続きご愛顧いただけますよう、お願い申し上げます。
2024年12月 株式会社産業新聞社