2023年4月28日
日本の特殊鋼/世界に誇る技術の粋/(48)/対談/下/藤岡会長 製造業のDNA的存在に/松野課長 CN時代、世界に活躍の場
――カーボンニュートラル(CN)への動きが加速することに商機を見出すことができるか。
松野「米国のIRA法(インフレ抑制法)や、それを受けたEUの支援策強化の動きなど、CNに向けた動きは当初想定よりも速く、諸外国では積極的な政策が多く出ている。政府ベースだけでなく、ルールメーキングに向けた議論も始まっている。民間でもグリーンスチールの販売への具体的な動きが見られる。急速に変化しているマーケット環境において、これまでの国内を中心とした需要は今後シュリンクするため、新たな需要を生み出すとともに、新規分野を開拓することが重要。特にグローバル需要の捕捉に向けて、技術と生産性を一層磨かなければならない。各社は生産プロセスの転換を迫られることになり、CN実現でCAPEX(資本的支出=設備投資)とともに、OPEX(事業運営費)の増加も見込まれる。世界共通にかかってくるこれらのハードルを乗り越えることが求められ、海外の動きを注視しながら技術を磨き、体制を整えておく必要がある。一方、CNを新たなアドバンテージとして利用できないかを考えたい。水素やアンモニア、再生可能エネルギーの活用。原子力や、これから生まれるグリーンプロダクトも特殊鋼が活躍するステージが出てくるだろう。国内メーカー間の競争だけでなく、海外メーカーとの争いや、他素材との競合も視野に入る。国民目線で言えば金属に限らず、優れた素材が誕生し、社会に役立つことは望ましい。特殊鋼もより良い素材として進化を続けることを期待しており、金属産業を所管する立場として応援している」
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