JFEミネラルの鉱産品事業部の鉄鋼業向け石灰石や珪砂の鉱山業で若い女性が活躍している。先輩の支援を受け、新人時代からフル回転してきたという。事業部の技術職で初めての女性、池田咲子さん(資源技術部資源調査室)と後輩の李川葉瑠香さん(栃木鉱業所鉱務室・採鉱担当)に夢などを聞いた。
――入社の経緯を。
池田「私は2017年の入社。大学では地質学の勉強をしていた。岩石の研究をしていたが、採石所に行く機会があり、ダイナミックなところを見て資源開発に興味を持った。昔から石を見るのが好きだった。大学の時はゼミの人と鉱物採集に行った」
李川「入社は2020年。大学の専門は構造地質学で、地滑りの形状解析という理論系。数式で計算して画像解析していた。地学系は就職の幅が狭い。どこに行くかだいたい決まる。やるとしたら鉱山がよいという形だった。大学の時に理論をやっていたので、就職したらフィールドに出たかった。鉱山は外に出て中の仕事もできてよいと思った」
――入社してからは。
池田「栃木鉱業所に入って、李川が入って引き継ぎをした。異動して21年からは本社資源技術部で国内鉱業所の支援業務、資源調査を行う部署にいる。資源は枯渇していくので次の開発地域の検討をしたり現在ある鉱区を拡大する計画を立てたりする。基本鉱山管理は各鉱業所が行うが、拡張になると事業部の課題なので鉱業所と協力して考える。フィリピンの石灰石、ドロマイトの鉱山も持っている。コロナ禍で行けなかったが、これから調査に行く機会もあるかもしれない」
李川「水木鉱山で操業の管理をしたり採掘計画を立てたり操業に関わることは大体やっている。鉱山は重機要員が2人いるが、技術者は1人なので私が(管理は)全部やっている。鉱山の後の破砕工程も去年の夏ごろから管理している。予算を立てたり操業にお金がいくらかかってどのくらい削減できるとか、環境法令系の手続きをしたり重機、設備のメンテナンスの手配など」
――新人時代から管理しているのか。
李川「1年経たずに独り立ちした。ほかの鉱山だと2、3年研修して3年目くらいで独り立ちらしいがここはすぐなのでやりがいはある」
――鉱山技術者は本社には大勢いるのか。
池田「6人で、ほかは各鉱業所の鉱務室に何人かいる」
――女性にとって働きやすいとか苦労は。
李川「女性だからというのはないが、業務の中で重きを置いているのが現場の人とのコミュニケーション。そこで男性が好む話題、女性が好む話題はどうしても違う。こちらより男性側が身構える。最初の一歩が問題なくいければ性別は関係ないが、最初だけお互いに様子を見る。力仕事はできないところはある。ねじ一つ回せなくて頼んだりすることはあるがそのくらい」
――池田さんは初めての苦労があったか。
池田「最初は距離があり、丁寧に扱われた。鉱山事務所に女性トイレがなかったので、増設してもらい、設備を変えてサポートしてもらった。女性が入ったことで現場も緊張感があったと思うが、性別関係なく接していただけてありがたい。鉱産品事業部は(女性)技術者がいない。李川が入った時はうれしかったが、その後が残念ながら続いていない」
李川「むしろ気を遣わなくてもよい。申し訳ない気持ち。入る時に男の人ばかりと分かっている。大学にも女性はいなかった」
――今後については。
池田「性別関係なく、平等に扱ってもらっている。適正な時期に転勤があったり、会社の都合で異動もある。うちは産休・育休は取りやすい。結婚・出産という手当は充実している。鉱産品の場合1人が1つの現場を持っているので、周りとの調整は難しいが、制度としてはきちんとあって、取っている人も少なくない」
李川「大学の先輩(男性)もここに勤めているが育休を取っている。男性も取っていると女性でも不自由なく取れると分かる。管理職になっても男女変わらない感じ。女性だから管理職はダメということはない。チャンスがあれば平等に与えられる」
――将来の夢は。
池田「フィリピンに鉱山を持っているので、いつか海外の鉱山で働いてみたい」
李川「せっかく工場を見始めたのでいろいろな工場を見たい。鉱山も今は珪石だが石灰の山を見たりいろいろなことをしてみたい」
――後に続く女性にメッセージを。
池田「心配せず会社に入ってほしい。制度も充実しているし意見は言いやすい。通るかは別として話を聞いてくれる。この分野が好きという人は特に入ってほしい」
李川「私も特に石に詳しいわけではない。でも何とかやれている。鉱山で働いてみたいというのがあれば不安はいらない。気になっている人はぜひ来てほしい」
(正清 俊夫)
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