神鋼商事は多様化するニーズに対応するため、グローバル人材の育成に注力している。中国出身の李爽(り・そう)さんは、2020年に神鋼商事に入社。現在は非鉄金属本部の業務企画部で管理部門の仕事を手掛けている。李さんに神鋼商事の社風や今後の目標などを聞いた。
――日本に来たきっかけを。
「中国にいた時に、英語の家庭教師を日本人の子供にしていたのですが、もっとコミュニケーションを取りたいと思い、日本語の勉強を始めました。日本語を学ぶことに楽しさを感じていたことに加え、教育にも興味を持っていたことから日本に留学しようと決めました」
――学生時代の過ごし方は。
「在学中は発達教育や職業教育、生涯教育などについて学んでいました。カフェでアルバイトをしていたのですが、大学生でもきちんとスケジュールを組んでプライドを持って仕事をしているところに驚きました。もしかしたら大学の時に得た知識より衝撃を受けたかもしれません(笑)」
「また、酒蔵や工場見学などをさせていただく機会をいただきました。その中で、職人の方々が一つのことをとことんまで突き詰め、ベストを追求し続けている姿を見てあこがれを感じました」
――鉄鋼・非鉄商社を選んだきっかけは。
「海外で貿易に携わりたかったことに加え、語学を生かした仕事をしたいと思ったからです。商社は流通の役割だけでなく、加工機能を持つなどお客さまの多様な要望に応えることができます。お客さまから仕入れ先まで皆さんが満足できる環境を作ることができるのは素敵だと感じました。また、非鉄素材は世界のあらゆるところで活用されています。自分が関わった仕事が目に見える形で現れたらやりがいがあるのではないかと思い、鉄鋼・非鉄商社を選びました」
――業務企画室ではどのような仕事を。
「国内外のグループ会社の業績や予算の管理、資料の作成、与信の管理などです。ここに出てくる数字や用語は、これまで勉強していなかった分野のため、最初は大変でした。入社した当時は先輩や上司の方から教えていただいたり、財務諸表に関する本で勉強しました。1年目は現在手掛けている仕事がどう他の仕事と結びつくのかがあまりみえてこなかったのですが、最近では全体像が少しずつみえてきてやりがいを感じています」
――神鋼商事の社風を感じるか。
「チャンスを与えてくれる会社だと感じています。入社当初は仕事をする上で、十分な知識がなかったのですが、『できますか』と声をかけていただき、任せていただいたことで、さまざまなことができるようになりました。ほかの部署でも同様ではないかと思います」
「最初は商社ということもあり男性が多いイメージでしたが、意外と女性が多くいい意味でのギャップを感じました。女性の総合職の先輩や新入社員もバリバリ働いており、何かあれば相談できる方も多くいます」
――外国人ならではのギャップを感じることは。
「ギャップを感じることはそれほどありません。話したい内容がうまく伝わらないことはありますが、先輩方から分からないことや難しいことを優しく教えていただいています」
――女性の活用をさらに進めるには。
「女性の取締役など業界のロールモデルとなる人が出ていただけたらと思います。大変だったことやどのように仕事を手掛けてきたのかを共有できる機会があれば、経験が浅い方々にも励みになるのではないかと感じています」
――今後の目標を。
「財務諸表だけでなく、M&Aなどもう少しレベルが高い知識を勉強したいです。読み手に伝わりやすい資料を作ることができるようにしたり、将来的に営業にも携われるよう製品の知識を学ぶなどスキルアップしていきたいです。また、チャンスがあれば、日本語、中国語、英語以外にも語学を学ぶことができたらと思います」(玉光 宏)