2022年4月12日

鉄鋼業界で働く/女性物流現場職編/インタビュー/積極的に業務改善提案

特殊鋼流通大手、佐久間特殊鋼(本社=名古屋市緑区、佐久間貞介社長)最東端の拠点である関東支店(茨城県結城市)では、物流の現場で働く若手女性社員がいる。迅速かつ多品種小ロットの特殊鋼サプライチェーンを支える、物流チームの大関佳澄さんに現場作業で働く大変さなどを聞いた。

――現在の業務について教えてください。

「入社以来一貫して倉庫管理を担当しています。天井クレーンやフォークリフトを操作し、入荷した鋼材の仕分けや鋼材の出荷準備を行います。梱包などの作業で数十キロの鋼材を抱えるなど力仕事もあります。積み込み作業では私が指揮をとることも少しずつ増えてきました。関東支店では、この道20年のベテランの先輩と、入社6年目の後輩とともに3人で作業を行います。先輩は私の母と同い年ということもあって非常に親しみやすく、後輩は私と同じ地元の出身で、チームのコミュニケーションが活発ですし、非常に人に恵まれているなと感じています」

――特殊鋼は、鋼種もさまざまで熱処理や研磨など加工工程も多様にありますよね。

「非常に複雑ですから、製品出荷には細心の注意を払っています。特殊鋼は奥が深い世界で、まだまだ勉強しなくてはいけません。加えて、その日の入出荷の時間や、どのように対応するかなども頭に入れておかないと、業務に支障が出てしまいます。これに関しては仕事をこなす中で少しずつ身についてきて、ここ最近になってようやく一人前になったのかな、と思います」

――入社した経緯をお聞かせください。

「私は関東支店が立地する結城市出身で、地元の物流関連企業を中心に就職活動をしていました。関東支店を見学した際に、場内が整理整頓されていて、働きやすい職場だと感じたことが入社のきっかけです。2013年に新卒で入社し、この春に10年目に入ります。周囲の友人には『9年も同じ会社で働いているの』と驚かれることもあります。支店の方々が優しく、働きやすい職場だから、働き続けることができているのだと思います」

――周囲に女性社員は。

「関東支店の業務チームには3人の女性がいますが、物流チームは私のみです。当社全体では女性の物流担当がもう一人います。鋼材は重く、落下事故など危険と隣り合わせですから、そもそもなり手が少ないですし、女性も珍しいのかなと思います。以前は引き取りや納品でいらっしゃる方に『君が運ぶのか』と驚かれたこともありました。当社の女性物流担当はオレンジ色のジャケットを着用します。この業務にチャレンジしたいという女性が出てきて、オレンジ色のジャケットに袖を通す人が一人でも増えてほしいですね(笑)」

――日々の清掃活動も欠かせないとか。

「入社したきっかけでもあるキレイな物流倉庫を維持できるように、毎朝の掃除や、ラインテープを塗り直すなどキレイを維持できるように努めています。環境の整備だけでなく業務の改善活動にも力を入れています。自分やまわりの人がどのようにすれば作業しやすいか考えながら改善活動を進めています。提案が実り、5年ほど前には佐久間特殊鋼全体で1位に選ばれ、表彰されました。非常にうれしかったですし、表彰を機にさらに改善活動を進めて行こうという気持ちになりました」

――最後に、今後の目標はありますか。

「皆さんのサポートがあって今日まで仕事を続けることができています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これからも佐久間特殊鋼の皆さんの力になれるよう、引き続き安全第一で業務に取り組んでいきたいです。そして改善活動でも再び1位を取れるよう、これからも積極的な業務改善を心掛けていきたいですね」(北村 康平)

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