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2024.12.20
2022年3月14日
鉄鋼業界で働く/女性駐在員編/インタビュー(1)/周囲の支えで挑戦決意
伊藤忠丸紅鉄鋼が人材戦略の一つとして取り組んできたダイバーシティ(多様性)の推進が成果を上げている。女性総合職の比率が年々上昇し、近年は海外駐在員として活躍するケースも出てきている。鉄鋼商社で女性が活躍するフィールドを広げた同社の女性駐在員6人に仕事への思いや女性ならではの苦労、将来のビジョンなどを聞いた。
【MISAシカゴ支店勤務の石塚有紗さん】
――現在の所属と業務内容を教えてください。
「昨年4月に米国会社(MISA)のシカゴ支店に着任し、セールスマネージャーとして勤務しています。主な担当は日系自動車部品メーカー様への営業です」
――日系企業が顧客ということですが、商談の相手も日本人駐在員が主体ですか。
「日本人と米国人とちょうど半々ぐらいですね。価格交渉や新しいビジネスの打ち合わせといった際は日本人も入りますが、日々のデリバリーやちょっとしたトラブル対応などはローカルの方と直接やり取りすることの方が多いです」
――商社に入社したのは海外で働いてみたいという思いもあったのでしょうか。
「学生時代から英語が好きで、高校生の頃から洋楽(レッド・ホット・チリ・ペッパーズなど)を演奏するバンドでボーカルをやったりもしていて、商社なら海外赴任のチャンスがあるのではと思い、志望しました。鉄鋼業界であれば、スケールの大きい仕事を任せてもらえるかもという期待もありました」
――実際に着任して、日本との違いを感じることは。
「ローカルの方含め社内外のさまざまな方々と連携して業務を進めていますが、その中で日本では『あうんの呼吸』で一から十まで言わなくてもできていたことが、こちらでは同じようにはできない――ということに直面しています。細かく伝えるだけでなく、正確に理解してもらえているか確認したり、相手の意見をくみ取ってフォローしたりすることも必要で、どうしたら自分のことをもっと信頼してもらえるかも含め、今も苦戦している最中です。物理的な部分ではやはり国土が広いので、お客さまの会社まで往復4―5時間のロングドライブになるのは大変ですが、私はもう慣れました(笑)」
――やりがいを感じる点は。
「日本では自動車鋼材の貿易業務に携わり、出張の際に海外のお客さまと商談する機会はあったものの、やはり実際に自分が現地に赴任して、直接お客さまと情報交換を行うことの面白味を感じています。トラブルにうまく対応できたり、ご要望に応えられたりすると、ダイレクトに感謝の思いを伝えていただけるので、とても励みになります」
――欧米は日本に比べ、女性の社会進出も進んでいますね。
「取引先の鉄鋼メーカーにも女性担当者がいますし、女性で要職に就いている方は多いです。性別もそうですが、年齢でも差別するのはダメで、そういったものにとらわれない仕事のしやすさは日本以上と言えるかもしれません」
――日本は半導体などの部品不足で自動車の減産が続いています。米国の状況はどうですか。
「米国の自動車メーカーも半導体調達には苦労していて、生産調整がたびたび行われているのは日本と同じです。ただ、その影響で日本のように自動車鋼材が大量に余っているかと言えばそうではなく、日本ほど生産能力が高くない分、需給バランスは崩れていないので、鉄鋼メーカーは強気の販売姿勢を維持しています。両者の間に入る商社の責任も重大で、価格変動を最小限に抑え、安定生産を支えていく機能が求められています」
――女性が異国の地に赴任するというのは、グローバル化が進んだ現代でもなかなかハードルが高いことではあると思いますが、何か石塚さんの決断を後押しするものがあったのでしょうか。
「私の場合は夫がフリーランスの仕事をしていて、住む場所が限定されないので、今回は夫も帯同して赴任することができました。もし赴任後に出産することになった場合はどうするかといったことも考える必要がありましたが、MISAの上司や同僚から『その時はサポートする』と言葉をかけてもらっていたので、何の不安もなかったです。周囲の支えがあったからこそ、今ここで働けていると感謝しています」
――日本社会は女性にとって働きやすい環境になってきていると感じますか。
「私たちの前の世代の方々から見れば、だいぶいい時代に変わってきているのだと思います。ただ、やっぱり結婚や出産といったライフイベントがあるタイミングで、自分の夢を我慢するのは女性側という概念が日本にはまだあるようにも感じます」
――当面の目標を教えてください。
「北米の鉄鋼メーカーから鋼材サービスセンター、自動車関連ユーザーまでのサプライチェーンに精通し、『石塚に聞けば何でも分かる』と頼られるレベルにまで成長して、日本に知見を持ち帰りたいと思っています。女性総合職からも『石塚さんのように海外で働きたい』と思ってくれる人が続いてくれるとうれしいですね」
――余暇はどのように過ごしてリフレッシュしていますか。
「夏は日が長いので帰宅後でもバーベキューができます。今の時期はスキーを楽しんでいます」
(音成 泰文)
【MISAシカゴ支店勤務の石塚有紗さん】
――現在の所属と業務内容を教えてください。
「昨年4月に米国会社(MISA)のシカゴ支店に着任し、セールスマネージャーとして勤務しています。主な担当は日系自動車部品メーカー様への営業です」
――日系企業が顧客ということですが、商談の相手も日本人駐在員が主体ですか。
「日本人と米国人とちょうど半々ぐらいですね。価格交渉や新しいビジネスの打ち合わせといった際は日本人も入りますが、日々のデリバリーやちょっとしたトラブル対応などはローカルの方と直接やり取りすることの方が多いです」
――商社に入社したのは海外で働いてみたいという思いもあったのでしょうか。
「学生時代から英語が好きで、高校生の頃から洋楽(レッド・ホット・チリ・ペッパーズなど)を演奏するバンドでボーカルをやったりもしていて、商社なら海外赴任のチャンスがあるのではと思い、志望しました。鉄鋼業界であれば、スケールの大きい仕事を任せてもらえるかもという期待もありました」
――実際に着任して、日本との違いを感じることは。
「ローカルの方含め社内外のさまざまな方々と連携して業務を進めていますが、その中で日本では『あうんの呼吸』で一から十まで言わなくてもできていたことが、こちらでは同じようにはできない――ということに直面しています。細かく伝えるだけでなく、正確に理解してもらえているか確認したり、相手の意見をくみ取ってフォローしたりすることも必要で、どうしたら自分のことをもっと信頼してもらえるかも含め、今も苦戦している最中です。物理的な部分ではやはり国土が広いので、お客さまの会社まで往復4―5時間のロングドライブになるのは大変ですが、私はもう慣れました(笑)」
――やりがいを感じる点は。
「日本では自動車鋼材の貿易業務に携わり、出張の際に海外のお客さまと商談する機会はあったものの、やはり実際に自分が現地に赴任して、直接お客さまと情報交換を行うことの面白味を感じています。トラブルにうまく対応できたり、ご要望に応えられたりすると、ダイレクトに感謝の思いを伝えていただけるので、とても励みになります」
――欧米は日本に比べ、女性の社会進出も進んでいますね。
「取引先の鉄鋼メーカーにも女性担当者がいますし、女性で要職に就いている方は多いです。性別もそうですが、年齢でも差別するのはダメで、そういったものにとらわれない仕事のしやすさは日本以上と言えるかもしれません」
――日本は半導体などの部品不足で自動車の減産が続いています。米国の状況はどうですか。
「米国の自動車メーカーも半導体調達には苦労していて、生産調整がたびたび行われているのは日本と同じです。ただ、その影響で日本のように自動車鋼材が大量に余っているかと言えばそうではなく、日本ほど生産能力が高くない分、需給バランスは崩れていないので、鉄鋼メーカーは強気の販売姿勢を維持しています。両者の間に入る商社の責任も重大で、価格変動を最小限に抑え、安定生産を支えていく機能が求められています」
――女性が異国の地に赴任するというのは、グローバル化が進んだ現代でもなかなかハードルが高いことではあると思いますが、何か石塚さんの決断を後押しするものがあったのでしょうか。
「私の場合は夫がフリーランスの仕事をしていて、住む場所が限定されないので、今回は夫も帯同して赴任することができました。もし赴任後に出産することになった場合はどうするかといったことも考える必要がありましたが、MISAの上司や同僚から『その時はサポートする』と言葉をかけてもらっていたので、何の不安もなかったです。周囲の支えがあったからこそ、今ここで働けていると感謝しています」
――日本社会は女性にとって働きやすい環境になってきていると感じますか。
「私たちの前の世代の方々から見れば、だいぶいい時代に変わってきているのだと思います。ただ、やっぱり結婚や出産といったライフイベントがあるタイミングで、自分の夢を我慢するのは女性側という概念が日本にはまだあるようにも感じます」
――当面の目標を教えてください。
「北米の鉄鋼メーカーから鋼材サービスセンター、自動車関連ユーザーまでのサプライチェーンに精通し、『石塚に聞けば何でも分かる』と頼られるレベルにまで成長して、日本に知見を持ち帰りたいと思っています。女性総合職からも『石塚さんのように海外で働きたい』と思ってくれる人が続いてくれるとうれしいですね」
――余暇はどのように過ごしてリフレッシュしていますか。
「夏は日が長いので帰宅後でもバーベキューができます。今の時期はスキーを楽しんでいます」
(音成 泰文)
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