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2024.12.20
2022年1月25日
鉄鋼業界で働く/女性営業職編/インタビュー/業界の印象を明るく
JFE商事本社では、鉄鋼貿易本部鉄鋼貿易企画室の新谷百合香さんが、投資案件や新入社員教育に関する業務などを日々行っている。「グローバルな仕事がしたい」という夢から鉄鋼業界にたどり着き、就職活動を実施。これまでに海外向け営業や海外研修を経験した。入社のきっかけや業務内容、女性として働く上で感じること、今後鉄鋼業界に望むことなどを聞いた。
――入社の経緯を。
「熊本県天草市出身で、地方で育った影響かグローバルに働く女性に憧れていました。横浜国立大学に進学後、商社の営業について調べるうち、建物や橋、缶詰など生活の至る分野に鉄が使われていると知り、鉄鋼業界に携わりたい思いが強くなりましたね。就活中に地元へ帰省したのですが、天草は熊本県内本土と5つの橋で結ばれています。自分の生活の身近な場所も鉄に支えられているんだと改めて実感しました」
――入社後は。
「2016年に入社し、鉄鋼貿易本部内の造船鋼材貿易室に約2年所属。中国などの海外造船向けに、主に厚板や形鋼などを販売しました。その後、エネルギー鋼材・鋼管貿易室へ異動。主にASEAN地域で鋼管問屋向け営業などを半年間担当しました」
――印象的な業務を。
「入社2年目の夏、初めて担当したお客さま向けに成約することができました。会社としても数年ぶりに成約が復活したお客さまで、自分にとっても初めてだったのでとてもうれしく、電話で報告を受けた時に手が震えていたのを覚えています。身体にアドレナリンがたくさん出たような感じにもなりました。また自分の力だけではなく、周囲のサポートがあってこそだったとも実感しました。あの感情を覚えてから、より楽しく、前のめりに仕事ができるようになり、チームとしての責任感を強く持つようになりました」
――その後、研修でシンガポールに。
「シンガポール支店で研修生として1年間派遣されました。厚板や鋼管を扱うお客さまをメインに、業界問わずさまざまな経験をさせていただきました」
――現地では大変な経験が多かったとか。
「最初はシンガポールなまりの英語を聞き取ることができませんでした。米国で留学経験があるのですが、会話が全然できずとてもへこみました。いざ海外に出ると、会社概要書だけでは見えないお客さまのニーズ、JFEスチール以外の仕入れ先など、知らないことだらけだと痛感しましたね。また日本では輸出だけを担当していましたが、シンガポールでは輸入も担当。輸出と輸入では業務内容が違うので、分からないことが多く頭がパンクしそうでした」
――20年4月から現職に。
「投融資案件の立案・実行・管理のフォローなどを行っています。本部方針として、トレード収益拡大はもちろん、さらに収益を伸ばすための手段として投融資の推進を掲げています。案件は営業部・本部主体で進めていきますが、より円滑に案件が推進できるよう、管理部門とも連携して業務に取り組んでいます。また、鉄鋼貿易本部内の人材育成も配属時から担当しています。全体的な新入社員教育はもともとありましたが、配属先によって必要な知識は異なります。本部に配属された新入社員に対しモチベーション向上などにつながる研修を提供できるよう心掛けています」
――新型コロナウイルス感染拡大と同時に始まった挑戦ですね。
「昨年度も本年度もオンラインで1カ月半―2カ月ほど実施しました。本部を中心に2年目から管理職の方、海外赴任中の研修生や駐在員なども講師に招きました。幅広い年次の方と接点を設けたことで、新入社員一人一人の不安が少なくなったのではと感じます」
――周囲の女性総合職について。
「本部では約80人中7人が女性で、先輩は2人です。入社6年目でもう上から3番目になってしまいました(笑)。まだまだ少ないと思いますが、入社当時は自分を入れて4人くらいだったので、徐々に増えてはいますね。少ない分、他の女性社員と周囲から仕事において比べられることが多いです。悪目立ちしているわけではないのですが、やはり男性より目立ってしまう。プレッシャーに感じることもありますね」
――逆に女性が少なくて良かったことを。
「本社での営業時代、JFEスチールの担当者に年上の女性総合職の方が何人かおられ、気にかけていただきました。ひょっとしたら昔の自身の姿と私を重ねて、若手女性社員としての悩みを理解しながら接してくださったのかもしれません。とても心強く、私もそのようになれたらと思いました」
――鉄鋼業界について思うことは。
「鉄鋼業界を知らない人からしたら、私たちの業界は古く、製鉄所では煙がモクモクしているようなイメージではないでしょうか。自分たちとは遠い世界、男ばかりという印象もあると思います。実際は洋上風力分野への出資、再生可能エネルギー分野の取り組みなどを進め、社会の未来のために活動を行っています。このことを若い世代に知ってもらい、古いイメージから脱却し、未来に明るいイメージを定着させられたら『鉄鋼業界で働きたい』という若者が増えるかもしれません」
――今後の目標を。
「この先進む道が営業部門であっても管理部門であっても、若いうちに双方を経験する機会はなかなかないので、この経歴を生かし、支えてくれる方々に感謝しながら日々誠実に働いていければと考えています」
(芦田 彩)
――入社の経緯を。
「熊本県天草市出身で、地方で育った影響かグローバルに働く女性に憧れていました。横浜国立大学に進学後、商社の営業について調べるうち、建物や橋、缶詰など生活の至る分野に鉄が使われていると知り、鉄鋼業界に携わりたい思いが強くなりましたね。就活中に地元へ帰省したのですが、天草は熊本県内本土と5つの橋で結ばれています。自分の生活の身近な場所も鉄に支えられているんだと改めて実感しました」
――入社後は。
「2016年に入社し、鉄鋼貿易本部内の造船鋼材貿易室に約2年所属。中国などの海外造船向けに、主に厚板や形鋼などを販売しました。その後、エネルギー鋼材・鋼管貿易室へ異動。主にASEAN地域で鋼管問屋向け営業などを半年間担当しました」
――印象的な業務を。
「入社2年目の夏、初めて担当したお客さま向けに成約することができました。会社としても数年ぶりに成約が復活したお客さまで、自分にとっても初めてだったのでとてもうれしく、電話で報告を受けた時に手が震えていたのを覚えています。身体にアドレナリンがたくさん出たような感じにもなりました。また自分の力だけではなく、周囲のサポートがあってこそだったとも実感しました。あの感情を覚えてから、より楽しく、前のめりに仕事ができるようになり、チームとしての責任感を強く持つようになりました」
――その後、研修でシンガポールに。
「シンガポール支店で研修生として1年間派遣されました。厚板や鋼管を扱うお客さまをメインに、業界問わずさまざまな経験をさせていただきました」
――現地では大変な経験が多かったとか。
「最初はシンガポールなまりの英語を聞き取ることができませんでした。米国で留学経験があるのですが、会話が全然できずとてもへこみました。いざ海外に出ると、会社概要書だけでは見えないお客さまのニーズ、JFEスチール以外の仕入れ先など、知らないことだらけだと痛感しましたね。また日本では輸出だけを担当していましたが、シンガポールでは輸入も担当。輸出と輸入では業務内容が違うので、分からないことが多く頭がパンクしそうでした」
――20年4月から現職に。
「投融資案件の立案・実行・管理のフォローなどを行っています。本部方針として、トレード収益拡大はもちろん、さらに収益を伸ばすための手段として投融資の推進を掲げています。案件は営業部・本部主体で進めていきますが、より円滑に案件が推進できるよう、管理部門とも連携して業務に取り組んでいます。また、鉄鋼貿易本部内の人材育成も配属時から担当しています。全体的な新入社員教育はもともとありましたが、配属先によって必要な知識は異なります。本部に配属された新入社員に対しモチベーション向上などにつながる研修を提供できるよう心掛けています」
――新型コロナウイルス感染拡大と同時に始まった挑戦ですね。
「昨年度も本年度もオンラインで1カ月半―2カ月ほど実施しました。本部を中心に2年目から管理職の方、海外赴任中の研修生や駐在員なども講師に招きました。幅広い年次の方と接点を設けたことで、新入社員一人一人の不安が少なくなったのではと感じます」
――周囲の女性総合職について。
「本部では約80人中7人が女性で、先輩は2人です。入社6年目でもう上から3番目になってしまいました(笑)。まだまだ少ないと思いますが、入社当時は自分を入れて4人くらいだったので、徐々に増えてはいますね。少ない分、他の女性社員と周囲から仕事において比べられることが多いです。悪目立ちしているわけではないのですが、やはり男性より目立ってしまう。プレッシャーに感じることもありますね」
――逆に女性が少なくて良かったことを。
「本社での営業時代、JFEスチールの担当者に年上の女性総合職の方が何人かおられ、気にかけていただきました。ひょっとしたら昔の自身の姿と私を重ねて、若手女性社員としての悩みを理解しながら接してくださったのかもしれません。とても心強く、私もそのようになれたらと思いました」
――鉄鋼業界について思うことは。
「鉄鋼業界を知らない人からしたら、私たちの業界は古く、製鉄所では煙がモクモクしているようなイメージではないでしょうか。自分たちとは遠い世界、男ばかりという印象もあると思います。実際は洋上風力分野への出資、再生可能エネルギー分野の取り組みなどを進め、社会の未来のために活動を行っています。このことを若い世代に知ってもらい、古いイメージから脱却し、未来に明るいイメージを定着させられたら『鉄鋼業界で働きたい』という若者が増えるかもしれません」
――今後の目標を。
「この先進む道が営業部門であっても管理部門であっても、若いうちに双方を経験する機会はなかなかないので、この経歴を生かし、支えてくれる方々に感謝しながら日々誠実に働いていければと考えています」
(芦田 彩)
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