1
2024.12.20
2022年1月19日
鉄鋼業界で働く/女性営業職編/インタビュー/鉄を通じ海外と関わる
鉄スクラップや鋼材の加工・販売などを手掛けるシマブンコーポレーション(本社=神戸市灘区、木谷謙介社長)で、初の女性営業職に採用された野村幸恵さんが日々奮闘している。2016年に総合職で入社後、営業事業部鉄鋼製品部薄板営業室に配属。インドなどの顧客とのやりとりはもちろん、作業服姿で工場に置いてある製品の検品作業なども行う。実家が鋳物を扱うスクラップ業を営んでおり、幼いころから鉄が身近だったという野村さん。鉄鋼業界に飛び込んだきっかけや現在の業務内容、今後の目標について聞いた。
――入社の経緯を。
「海外旅行が好きで外国に関心を持つようになり、大阪大学大学院人間科学研究科で『紛争復興関係論』について学んでいました。研究の一環でウガンダ共和国を訪問し、首都が栄えている一方で、南スーダン共和国との国境付近など地方では、細い木を並べたり泥のブロック塀を重ねたりして家を建てていて、開発が進んでいない状況を目にしたんです。その時、『国境付近の田舎も今後は発展してくるだろう。そうなればインフラが必要。インフラ作りは鉄から始まる』と感じ、鉄鋼業界で海外と関わる仕事をしたいと思うようになりました」
――鉄がすぐに思いついた理由は。
「実家が鋳物を扱うスクラップ業を営んでいて、祖父も母も鉄に関わる仕事をしていたんです。物心付いたころからダンプカーの助手席に乗って、母の運転でお客さまのもとへ行っていました。私にとってダンプカーはゆりかごですね。納入先では、マグネット式のクレーンで荷下ろしされるたびにダンプカーが揺れて怖かったのを覚えています(笑)。今でも鉄鋼業界で働く女性は珍しいですが、当時はもっと珍しかったと思います」
――身近だった鉄鋼業界を自身も目指すように。
「そんなこともあって、メーカーや商社など、幅広く鉄鋼業界の入社試験を受けました。シマブンコーポレーションは、海外の仕事をしながら鉄と密接に現場レベルで関われるという自分の希望に合った会社だったので、入社を決めました」
――女性で初の営業職として入社した。
「自分自身が気負うことはありませんでしたが、周囲の期待と不安が私にまで伝わってきていましたね。初めは、上司もどのように接したらいいか迷っていたようです。でも、一般職の女性社員の先輩方が『野村さんは営業に出て、契約を取ってくれたらいいんだよ!』と声を掛けてくださったり、現場回りや検品に行けるよう動いてくださったり、最初から気にかけていただいたおかげで、すぐに職場に溶け込むことができました。とてもありがたく感じましたね」
――業務内容を。
「入社時から現在の部署で働いています。熱延鋼板、酸洗鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板などを高炉・電炉メーカーから仕入れ、国内外に販売しています。入社当初は検品、デリバリーの担当から始め、2―3年目から国内のお客さまを担当。19年10月からインドを中心に香港など海外のお客さまも担当させていただいているのですが、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外のお客さまのもとには行けていません」
――大変なことは。
「海外との直接取引が多いのですが、お客さまの中には支払い期限の直前になっても入金していただけない方もいます。期日が近づいてくると、販売代金を回収し損ねないかと精神的なプレッシャーを感じますね。与信管理には細心の注意を払うよう心掛けています」
――やりがいを。
「新しい仕入れルートを開拓できた時、とてもうれしかったです。なかなか新規参入ができない業界なので、たまたま運があったんだと思います。最初は50トンで、現在は300トンほどの仕入れをしています。会社に貢献できたとも感じましたね」
――女性として働いていて困ったことは。
「小さなころから鉄鋼業界の家庭で育ち、祖父も夜な夜な飲みに出かけ、週末はゴルフという“ザ・鉄屋さん"といった生き方をしていたので、入社後のギャップもないですし、むしろ祖父と国内のスクラップ相場について語れる仲になりました(笑)。ただ、同じ部署に営業職の女性の後輩が1人いるのですが、彼女は初めて鉄鋼業界を目の当たりにし、戸惑っている部分が多々あるかもしれません。先輩として、悩みがあれば話を聞いて解消してあげられたらと思います」
――鉄鋼業界に女性が増えてほしいか。
「増えてほしいです。鉄の営業職となると現場第一の仕事なので、ホコリが付いたり日焼けしたりもします。きらびやかなOLをイメージされると違うかな……と思います。この業界は女性が少ないので、最初は覚えてもらいやすいという利点がありますが、そのことに甘んじることなく、女性ならではの視点や感性も生かして、自分の実力を発揮したい! 活躍したい! という志を持った女性に来てもらえたらうれしいですね」
――今後の目標を。
「今は薄板についての勉強を続け、極めたいですね。エキスパートを目指すのも魅力的ですが、スクラップから製品までさまざまな事業を持つ会社なので、ゆくゆくは薄板で得た知識をいかして他の部門も経験してみたいです」(芦田 彩)
――入社の経緯を。
「海外旅行が好きで外国に関心を持つようになり、大阪大学大学院人間科学研究科で『紛争復興関係論』について学んでいました。研究の一環でウガンダ共和国を訪問し、首都が栄えている一方で、南スーダン共和国との国境付近など地方では、細い木を並べたり泥のブロック塀を重ねたりして家を建てていて、開発が進んでいない状況を目にしたんです。その時、『国境付近の田舎も今後は発展してくるだろう。そうなればインフラが必要。インフラ作りは鉄から始まる』と感じ、鉄鋼業界で海外と関わる仕事をしたいと思うようになりました」
――鉄がすぐに思いついた理由は。
「実家が鋳物を扱うスクラップ業を営んでいて、祖父も母も鉄に関わる仕事をしていたんです。物心付いたころからダンプカーの助手席に乗って、母の運転でお客さまのもとへ行っていました。私にとってダンプカーはゆりかごですね。納入先では、マグネット式のクレーンで荷下ろしされるたびにダンプカーが揺れて怖かったのを覚えています(笑)。今でも鉄鋼業界で働く女性は珍しいですが、当時はもっと珍しかったと思います」
――身近だった鉄鋼業界を自身も目指すように。
「そんなこともあって、メーカーや商社など、幅広く鉄鋼業界の入社試験を受けました。シマブンコーポレーションは、海外の仕事をしながら鉄と密接に現場レベルで関われるという自分の希望に合った会社だったので、入社を決めました」
――女性で初の営業職として入社した。
「自分自身が気負うことはありませんでしたが、周囲の期待と不安が私にまで伝わってきていましたね。初めは、上司もどのように接したらいいか迷っていたようです。でも、一般職の女性社員の先輩方が『野村さんは営業に出て、契約を取ってくれたらいいんだよ!』と声を掛けてくださったり、現場回りや検品に行けるよう動いてくださったり、最初から気にかけていただいたおかげで、すぐに職場に溶け込むことができました。とてもありがたく感じましたね」
――業務内容を。
「入社時から現在の部署で働いています。熱延鋼板、酸洗鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板などを高炉・電炉メーカーから仕入れ、国内外に販売しています。入社当初は検品、デリバリーの担当から始め、2―3年目から国内のお客さまを担当。19年10月からインドを中心に香港など海外のお客さまも担当させていただいているのですが、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外のお客さまのもとには行けていません」
――大変なことは。
「海外との直接取引が多いのですが、お客さまの中には支払い期限の直前になっても入金していただけない方もいます。期日が近づいてくると、販売代金を回収し損ねないかと精神的なプレッシャーを感じますね。与信管理には細心の注意を払うよう心掛けています」
――やりがいを。
「新しい仕入れルートを開拓できた時、とてもうれしかったです。なかなか新規参入ができない業界なので、たまたま運があったんだと思います。最初は50トンで、現在は300トンほどの仕入れをしています。会社に貢献できたとも感じましたね」
――女性として働いていて困ったことは。
「小さなころから鉄鋼業界の家庭で育ち、祖父も夜な夜な飲みに出かけ、週末はゴルフという“ザ・鉄屋さん"といった生き方をしていたので、入社後のギャップもないですし、むしろ祖父と国内のスクラップ相場について語れる仲になりました(笑)。ただ、同じ部署に営業職の女性の後輩が1人いるのですが、彼女は初めて鉄鋼業界を目の当たりにし、戸惑っている部分が多々あるかもしれません。先輩として、悩みがあれば話を聞いて解消してあげられたらと思います」
――鉄鋼業界に女性が増えてほしいか。
「増えてほしいです。鉄の営業職となると現場第一の仕事なので、ホコリが付いたり日焼けしたりもします。きらびやかなOLをイメージされると違うかな……と思います。この業界は女性が少ないので、最初は覚えてもらいやすいという利点がありますが、そのことに甘んじることなく、女性ならではの視点や感性も生かして、自分の実力を発揮したい! 活躍したい! という志を持った女性に来てもらえたらうれしいですね」
――今後の目標を。
「今は薄板についての勉強を続け、極めたいですね。エキスパートを目指すのも魅力的ですが、スクラップから製品までさまざまな事業を持つ会社なので、ゆくゆくは薄板で得た知識をいかして他の部門も経験してみたいです」(芦田 彩)
スポンサーリンク