2021年10月28日

鉄鋼業界で働く/女性現業職編/インタビュー(上)/周囲も協力、体格差克服/想像よりきれいな現場

JFE条鋼の鹿島製造所(茨城県神栖市、中村宗二・常務執行役員所長)は、製造現場での活躍を期待する女性社員を積極的に採用しており、検査部門で小神野莉沙さんが、生産管理部門で菅谷希未さんがそれぞれ作業に従事している。鹿島初の現業系女性社員となった小神野さん(2017年4月入社)、高校の後輩である菅谷さん(20年4月入社)に鉄鋼業界への思いや、仕事の魅力などを聞いた。

――はじめに、JFE条鋼に入社したきっかけを教えてください。

小神野「高校3年(茨城県立波崎高校)の春、授業の一環として鹿島製造所を見学する機会があって、そこでJFE条鋼を知り、ダイナミックな電気炉溶解を見て感動したのがきっかけです。JFE条鋼を第一志望で就職活動を進めてきましたが、募集要項の性別、学科が不問で、実家から近く通いやすい点も決め手に。じっとしているのが苦手なので、体を動かす仕事に携わりたいと思っていました」

菅谷「父が鹿島製造所の社員で、電気設備の保全を担っています。私は卒業後の就職先を決めるにあたり、JFE条鋼は積極的に女性社員を採用していると聞き、実際に高校の先輩である小神野さんが活躍していて、興味を持ちました。きっかけは父で、小神野さんに続く形になりましたが、現場の女性社員として私も貢献したいと考え、就職を希望しました。私も普通科出身ですが、事務ではなく、現場で体を動かして働きたいと思っていました」

――配属先は。

小神野「品質保証室(試験分析)に配属し、今は常昼勤務(勤務時間8時―16時)です。圧延後の製品で試験片を作成し、引っ張り試験や曲げ試験などを行うことで不具合の有無を確認しています」

菅谷「生産管理部生産管理グループで製鋼、圧延の生産スケジュールを作成し、直送圧延の指示や半製品(ビレット)の在庫管理、協力会社への指示などに従事しています。常昼勤務(同8時―16時30分)です。作業長やリーダーが鋳込み計画を作り、それを基に製鋼スケジュールを組みますが、私もようやく一人でできるようになりました。職場の先輩は皆さん優しく、逆に協力会社のスタッフに教えてもらうことも多く、ストレスなどは一切感じていません」

――入社前と後では鉄鋼業界、JFE条鋼の印象は変わりましたか。

小神野「JFE条鋼に限らず、鉄鋼業は男性主体の職場と認識していましたが、だからと言って特に不安はなく、JFE条鋼は思っていたよりもフランクな職場で、皆さん温かく迎えてくださり、入社して良かったと思っています。入社前から強気で、男性の中で女性が頑張る、女性にもできるところを見せるのがカッコいいと感じていたところがあります。女性ではできないことが多い印象だったが、意外とそうでもなかった。ただ、男性との体格差が大きく、力仕事がネックになり、苦労したこともありました。特に私は身長が低く、男性の体格に合わせて作られている機械設備に届かないことなどがありましたが、上司や先輩が協力してくださり、今では男性と同じように作業することができるようになっています」

菅谷「鉄鋼業は男性がメインで、汚い職場というイメージがありました。実際に働いてみると、私も活躍できる場があり、詰め所内の仕事が主体で職場は想定していた以上に整理されていて作業しやすく、きれい。先輩がサポートしてくださっているので、働きやすく恵まれています」

(濱坂 浩司)

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