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2024.12.24
2021年2月1日
拡大する半導体市場を支えるアルミ・シリコン DX進展、市場規模拡大へ
スマートフォン、パソコン、テレビ、エアコン、自動車、飛行機、宇宙探査ロケットまで幅広い分野で使用される半導体製品。IoTの進展で需要は拡大の一途をたどっており、最近では新型コロナの世界的な感染拡大によりデジタルトランスフォーメーション(ITを活用した変革、DX)が急速に進み、市場規模はさらに膨らもうとしている。日々の人々の暮らしを支える半導体製品やそれらを作る半導体製造装置には、シリコンやアルミが大量に使用されており、それらの金属の需要拡大にも期待が高まっている。身近なようであまり知られていない半導体製品や半導体製造装置の世界を覗いてみる。
▽そもそも半導体って何か知っていますか?
普段、皆さんが仕事で扱っているアルミや銅は電気を通す「導体」。一方、ゴムやガラスなどは「絶縁体」とされ、半導体はその中間に位置する。半導体の代表的な物質は、単元素はシリコン、ゲルマニウム、炭素などがあり、他の元素と結合した化合物では窒化ガリウムやヒ化ガリウム(通称ガリウムヒ素)、リン化ガリウムなどがある。
トランジスタやダイオード、集積回路、センサーなどを半導体と呼ぶケースが一般的だが、これらは「半導体素子」または「半導体製品」であり、半導体は正しくはシリコンなどの物質のみを指す。この半導体を原料に電気特性を利用してLEDやトランジスター、コンデンサーなどの電子部品が作られ、さらに半導体に直接、回路や素子の機能などを集積したものが集積回路(IC)となる。集積回路には、記憶や変換、読み込みなどのさまざまな機能が付与され、われわれが手にするスマートフォン、パソコン、家電、自動車などに組み込まれている。
▽半導体製品の材料となるシリコンウエハー
半導体製品の多くはシリコンを原料とするシリコンウエハーから製造される。シリコンの精錬工程では、まず珪石をアーク炉で還元し、金属シリコン(純度98―99%)を製造。さらに化学反応させ、イレブンナインと呼ばれる純度99・999999999%の多結晶シリコンに仕上げる。
世界の多結晶シリコン市場では、GCL―ポリ(中)やOCI(韓)、ワッカーケミー(独)、ヘムロックセミコンダクタ(米)などの大手メーカーがあり、国内メーカーではトクヤマが健闘している。多結晶シリコンの用途は太陽光発電向けと半導体向けがあり、需要量は太陽光発電の方が大きかったが、近年は発電効率に優れるPERC型の台頭で徐々に単結晶シリコンにシフトしている。
多結晶シリコンをここからさらに石英るつぼで溶解、回転させたものが円柱形の単結晶シリコンで、これを薄くスライス切断するとウエハーになる。ちなみにウエハーの表面を高精度に平坦に磨く研磨装置は、日本のディスコ(DISCO)が世界シェアの6―7割を有している。
▽シリコンウエハーの世界シェアと市場規模
シリコンウエハーの世界シェアは、日本の信越化学工業とSUMCOが1―2位を独占し、2社で6割近いシェアを有する。ここでも日本の企業が世界で活躍している。その他にはグローバルウェーハズ(台)やシルトロニック(独)、SKシルトロン(韓)と続く。昨年末には、業界3位のグローバルウェーハズが4位のシルトロニックの買収について最終段階にあると発表しており、完了すればグローバルウェーハズがSUMCOを抜いて業界2位に踊り出るといわれている。
SEMI(旧国際半導体製造装置材料協会)の統計によると、シリコンウエハーの世界出荷面積は、直近2020年7―9月は31億3500万平方インチで前年同月から6・9%増えた。00年の水準が12億―14億平方インチだった点を考慮すると、市場規模は20年間で2倍以上に膨らんでいる。
▽国内のシリコン産業と輸入量
シリコンの原料となる珪石は、地球上で酸素に次いで2番目に多く存在する元素とされ、資源量・埋蔵量は非常に多い。ちなみに3番目に多いのはアルミ(ボーキサイト)だ。珪石から金属シリコンを製造する工程は膨大な電力を必要とするため、日本ではオイルショック後の1982年以降、珪石の製錬メーカーが完全撤退し、現在は金属シリコンという形で全量を輸入している。
金属シリコンの世界生産量は年間90万トン。主要生産国は中国やノルウェー、米国、ブラジル、オーストラリア、南アフリカなどがあり、中国が世界の6割以上を占める。
日本のシリコンの輸入量(HSコード=2804・61と69の総量)は、昨年は21万トン。内訳は99・99%(4N)以上の高純度単結晶シリコン(HSコード=280461100)が3900トン、高純度多結晶シリコン(同280461200)は1万4400トン、4N未満のその他(280469000)は19万1000トン。4N未満のいわゆる低品位の金属シリコンが最も多く、その大多数がアルミ合金や二次合金の添加用に使用されている。
20年前の00年はシリコンの輸入量が20万トンで総量は今と大きく変わらない。ただ、内訳はそれぞれ1200トン、4900トン、19万4000トンと、単結晶と多結晶はともに3倍近く増えた。シリコンウエハーの需要や太陽光発電分野からの引き合いが拡大したためで、一方で低品位の金属シリコンは国内アルミ市場の縮小で微減した。
単結晶シリコンの輸入相手国はトップから米国(シェア78%)、台湾(14%)、中国(4%)、韓国(2%)、オーストラリア(1%)。多結晶シリコンは、米国(56%)、台湾(18%)、ドイツ(18%)、韓国(7%)、中国(1%以下)と、ともに米国がダントツのシェアを誇る。一方、4N未満の金属シリコンは、中国(83%)、ノルウェー(5%)、ブラジル(5%)、オーストラリア(4%)、タイ(1%)となっている。
▽そもそも半導体って何か知っていますか?
普段、皆さんが仕事で扱っているアルミや銅は電気を通す「導体」。一方、ゴムやガラスなどは「絶縁体」とされ、半導体はその中間に位置する。半導体の代表的な物質は、単元素はシリコン、ゲルマニウム、炭素などがあり、他の元素と結合した化合物では窒化ガリウムやヒ化ガリウム(通称ガリウムヒ素)、リン化ガリウムなどがある。
トランジスタやダイオード、集積回路、センサーなどを半導体と呼ぶケースが一般的だが、これらは「半導体素子」または「半導体製品」であり、半導体は正しくはシリコンなどの物質のみを指す。この半導体を原料に電気特性を利用してLEDやトランジスター、コンデンサーなどの電子部品が作られ、さらに半導体に直接、回路や素子の機能などを集積したものが集積回路(IC)となる。集積回路には、記憶や変換、読み込みなどのさまざまな機能が付与され、われわれが手にするスマートフォン、パソコン、家電、自動車などに組み込まれている。
▽半導体製品の材料となるシリコンウエハー
半導体製品の多くはシリコンを原料とするシリコンウエハーから製造される。シリコンの精錬工程では、まず珪石をアーク炉で還元し、金属シリコン(純度98―99%)を製造。さらに化学反応させ、イレブンナインと呼ばれる純度99・999999999%の多結晶シリコンに仕上げる。
世界の多結晶シリコン市場では、GCL―ポリ(中)やOCI(韓)、ワッカーケミー(独)、ヘムロックセミコンダクタ(米)などの大手メーカーがあり、国内メーカーではトクヤマが健闘している。多結晶シリコンの用途は太陽光発電向けと半導体向けがあり、需要量は太陽光発電の方が大きかったが、近年は発電効率に優れるPERC型の台頭で徐々に単結晶シリコンにシフトしている。
多結晶シリコンをここからさらに石英るつぼで溶解、回転させたものが円柱形の単結晶シリコンで、これを薄くスライス切断するとウエハーになる。ちなみにウエハーの表面を高精度に平坦に磨く研磨装置は、日本のディスコ(DISCO)が世界シェアの6―7割を有している。
▽シリコンウエハーの世界シェアと市場規模
シリコンウエハーの世界シェアは、日本の信越化学工業とSUMCOが1―2位を独占し、2社で6割近いシェアを有する。ここでも日本の企業が世界で活躍している。その他にはグローバルウェーハズ(台)やシルトロニック(独)、SKシルトロン(韓)と続く。昨年末には、業界3位のグローバルウェーハズが4位のシルトロニックの買収について最終段階にあると発表しており、完了すればグローバルウェーハズがSUMCOを抜いて業界2位に踊り出るといわれている。
SEMI(旧国際半導体製造装置材料協会)の統計によると、シリコンウエハーの世界出荷面積は、直近2020年7―9月は31億3500万平方インチで前年同月から6・9%増えた。00年の水準が12億―14億平方インチだった点を考慮すると、市場規模は20年間で2倍以上に膨らんでいる。
▽国内のシリコン産業と輸入量
シリコンの原料となる珪石は、地球上で酸素に次いで2番目に多く存在する元素とされ、資源量・埋蔵量は非常に多い。ちなみに3番目に多いのはアルミ(ボーキサイト)だ。珪石から金属シリコンを製造する工程は膨大な電力を必要とするため、日本ではオイルショック後の1982年以降、珪石の製錬メーカーが完全撤退し、現在は金属シリコンという形で全量を輸入している。
金属シリコンの世界生産量は年間90万トン。主要生産国は中国やノルウェー、米国、ブラジル、オーストラリア、南アフリカなどがあり、中国が世界の6割以上を占める。
日本のシリコンの輸入量(HSコード=2804・61と69の総量)は、昨年は21万トン。内訳は99・99%(4N)以上の高純度単結晶シリコン(HSコード=280461100)が3900トン、高純度多結晶シリコン(同280461200)は1万4400トン、4N未満のその他(280469000)は19万1000トン。4N未満のいわゆる低品位の金属シリコンが最も多く、その大多数がアルミ合金や二次合金の添加用に使用されている。
20年前の00年はシリコンの輸入量が20万トンで総量は今と大きく変わらない。ただ、内訳はそれぞれ1200トン、4900トン、19万4000トンと、単結晶と多結晶はともに3倍近く増えた。シリコンウエハーの需要や太陽光発電分野からの引き合いが拡大したためで、一方で低品位の金属シリコンは国内アルミ市場の縮小で微減した。
単結晶シリコンの輸入相手国はトップから米国(シェア78%)、台湾(14%)、中国(4%)、韓国(2%)、オーストラリア(1%)。多結晶シリコンは、米国(56%)、台湾(18%)、ドイツ(18%)、韓国(7%)、中国(1%以下)と、ともに米国がダントツのシェアを誇る。一方、4N未満の金属シリコンは、中国(83%)、ノルウェー(5%)、ブラジル(5%)、オーストラリア(4%)、タイ(1%)となっている。
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