スギモトホールディングスのグループ企業、千葉製鋼(本社工場=千葉県船橋市、杉本義幸社長)は、2017年5月にタダノ製のラフタークレーン(30トン)を1台導入し、建造物の解体工事で発生する処理困難物を受け入れる処理体制を強化した。
首都圏では、都市開発の活発化によって、大型建造物の解体工事が増加。解体工事で発生する、がれき付鉄骨、コンクリート充填コラム(CFT)、既存RC杭、PC版などの処理困難物は、従来現場で一定の大きさに破砕した後、産業廃棄物業者が運搬していた。
ただ騒音、振動、粉塵の発生、またSRC造の解体には高力ボルトの飛散から物損、労災事故が生じており、近年は周辺環境への配慮から解体現場での破砕作業を軽減し、処理困難物を大型のままで産業廃棄物処理業者に搬出したいとの要望があるものの、首都圏に近いプラントでは対応が困難である。このため、千葉製鋼では処理困難物を大型のままで受け入れ処理する体制を構築した。
千葉製鋼では大型処理困難物を受け入れることで、人手不足が顕在化する環境下、工事現場での作業の簡略化による近隣への環境配慮と工期の大幅短縮にもつながり、がれき搬出のトラック台数が減ることで輸送に伴うCO2排出削減に寄与できると判断し、受け入れ体制を強化した。
同社は6万6000平方メートルの敷地を有しており、また産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物中間処分業(破砕、圧縮切断)の許可、ISO14001の認証を取得、コンクリートガラ破砕機や大型ギロチン機を所有しており、ゼネコンや解体工事業者のニーズに捕捉するため、敷地内に専用ヤードを設置するなど、3年前から受け入れ体制を整備。現在はコンクリートを再生砕石として、鉄スクラップを製鋼原料としてそれぞれリサイクルしている。
1個当たり12―13トンの重量となる大型処理困難物に関してはレッカー車を手配して運搬トレーラーからの荷降ろしなど、これまで作業効率が悪く、外注コストを必要としていた。今回30トンラフタークレーンを導入したことで作業効率が向上し、安全性が高まり、コスト削減にも結び付くと期待している。
千葉製鋼はこれまでの取り組みが奏功し、大手ゼネコンや解体工事業者からの処理困難物受け入れの処理実績が増えており、至近では1現場当たり2万トンの大型物件も受注している。
スギモトホールディングスはグループ会社の千葉製鋼(本社工場=千葉県船橋市)、協和興業(本社工場=埼玉県八潮市)、双葉商事(本社工場=埼玉県八潮市)の連携を深めて、処理困難物受け入れ・処理を推進していく。