(1)中国需要減、世界的な低成長
中国の成長減速で鉄鋼需要は減少が続く。北米や日本など先進国、ロシア、ブラジルなど新興国も需要減退で、世界鋼材需要は6年ぶりの減少に。停滞局面で過剰能力問題が深刻化した。
(2)中国輸出1億トン時代、通商摩擦広がる
中国の鋼材輸出が11カ月で既に年間初の1億トンに到達。過剰能力を持て余すなか、アンチダンピング(AD)やセーフガードなど通商摩擦が激化し、向け先の方向転換を各国が警戒。日本の普通鋼鋼材輸入は10カ月で前年を下回ったが、10月まで前月比は3カ月連続で増えた。
(3)鉄鋼原料安、鋼材安…高炉収益が苦戦
中国の生産伸び悩みにより、鉄鉱石、原料炭の主原料は需給緩和が続き、価格は資源ブームの初期段階レベルまで落ち込んだ。原料安は鋼材価格の下落に加えて、在庫評価損も招き高炉大手の収益を圧迫した。
(4)鉄スクラップ安、電炉業績改善
鉄鋼主原料安、鋼材安、中国の半製品輸出攻勢などにより、鉄スクラップがリーマンショック以来の安値に落ち込んだ。原料安は電炉の収益を一時的に回復させた一方で、流通の収益が悪化し、スズトクなど大手業者を軸としたリサイクル業者の連携が進む。
(5)高炉大手、国内製造基盤強化に本腰
新日鉄住金、JFEスチールが新中期計画で老朽更新投資増額、技能継承や人材育成をにらんだ採用人員増など国内製造基盤強化を打ち出した。小倉の高炉休止・八幡集約などの操業効率化や懸案のコークス炉の更新などで競争力を強化する。
(6)JFEベトナム高炉に参画、高炉の海外戦略進展
JFEスチールが懸案のベトナムの一貫製鉄計画参画を決めた。新日鉄住金は米カルバート工場の超ハイテン投資を決めるなど、高炉大手の海外展開が進んだ。
(7)JFEスチール柿木新体制、鉄連会長も交代
林田英治・JFEホールディングス社長、柿木厚司・JFEスチール社長体制がスタート。柿木氏は日本鉄鋼連盟会長も林田氏から引き継いだ。
(8)鉄鋼協会100年、中国など追い上げに警鐘も
日本鉄鋼協会が100周年を迎え、式典には安倍首相も駆け付けた。1世紀にわたる技術力の蓄積が日本鉄鋼業の競争力の源泉だが、宗岡正二・新日鉄住金会長は式典の記念講演で中国の追い上げをあえて指摘し、奮起を促した。
(9)電炉業界再編、大阪製鉄が東京鋼鉄を子会社化
大阪製鉄が公開買い付けで東京鋼鉄を子会社化すると発表。電炉は一時的な収益回復局面とはいえ、震災後の電力料金高騰のほか東京五輪後の内需縮小が見込まれ、経済産業省も長期の課題として再編を含めた競争力強化を促している。
(10)伊藤忠丸紅と住商が建材事業を統合
伊藤忠丸紅鉄鋼と住友商事は建材事業を統合し、伊藤忠丸紅住商テクノスチールを発足させると発表。三井物産とメタルワンの建材事業が統合したエムエム建材に続き、総合商社6社を背景とする建材事業が2グループに集約する。