台湾鉄鋼最大手ＣＳＣ、将来への布石

CSC高雄製鉄所の第4高炉

市場環境に危機感
東南アジア　インド　海外戦略を強化
政治絡み「調整の年」

2月中旬の春節（旧正月）前に、台湾の中国鋼鉄（ＣＳＣ）の鄒若斉董事長は幹部を集めてこう述べた。「新年の重点項目は3点。やるべきことに焦点を当てること。創造と改革。そして深く全面的なセールスだ」。

顧客へのサービスを向上させ、付加価値の高い製品を拡販する。手を尽くして競争力を引き上げ、海外の安値材に対抗するという強い意志を伝えた。

2014年は増収増益だった。高炉改修が完了して生産が正常に戻り、単独鋼材販売量は968万トンと前年比2・1％増え、2年連続増加した。グループの中龍鋼鉄もフル操業を続け、鋼材生産500万トンを達成した。

「難しい市場環境の中で販売を増やしたのはまずまずの成果だった」。鄒董事長は台湾南部の高雄市内に建てたばかりの真新しい本社ビルの董事長室で、産業新聞社の取材にこう語り始めた。

・・・続きは産業新聞紙面で

中国材の影響大
環境対策・品質で勝負
需要家と合弁工場加速

CSCの新本社ビル

　中国の大量の鋼材輸出が世界の鉄鋼市場を混乱させている。中国の宝鋼集団が広東省湛江に大型製鉄所を2015年9月に稼働させる予定だが、中国の生産能力が増え、輸出が増えるのではとも予想されている。台湾もすでに中国材の影響を多大に受けている。

　「湛江の製鉄所は華南地区に流入している輸入材や中国の東北・華北からの鋼材の代替として供給する。まず影響を受けるのは中国の東北・華北の鉄鋼メーカーだ」と鄒董事長は説明する。中国最大鉄鋼需要地の華南地区において、遠距離から届く非効率な鋼材が、近隣の湛江の鋼材に切り替わることになる。

　「再輸出用の輸入鋼材の保税措置が6月30日入着分で撤廃される。湛江の製鉄所はその輸入材が受ける衝撃を緩和するだろう」（同）。湛江の増量分が、減少する輸入材の穴埋めとなる。

　宝鋼の湛江と同じく、武漢鋼鉄集団が華南地区で工事を進める防城港製鉄所も、建設の条件として既存の能力を減らすことになっている。能力削減の実行の有無は注視されるが、2つの大型製鉄所が即座に能力増・輸出増につながるとは、鄒董事長は考えていない。

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