2014年12月22日

2014年鉄鋼業界10大ニュース

(1)中国過剰能力が輸出市場に顕在化

中国の輸出が急拡大し、月間1000万トン、年率1億2000万トン規模に達した。アジアを中心に需給・市況悪化を招き、欧米を含め貿易摩擦が広がる。韓国の輸出拡大もあり、日本の普通鋼輸入は17年ぶりに500万トンに達する勢い。

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(2)普通鋼電炉3社が事業撤退、東鉄は岡山の熱延休止

大三製鋼、新北海鋼業、中央圧延が撤退し、東京製鉄は熱延工程の岡山工場休止、田原集約を決めた。電力多消費産業で年間1600億円もの電力コスト高が収益を圧迫し、事業再編を促す。

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(3)鉄鉱石暴落

原料炭はピークの3分の1の安値に張り付き、鉄鉱石が年初の半値に下がるなど、主原料価格が低迷した。資源ブームの反動は高炉の収益を押し上げた一方、資源会社や商社はコスト削減やリストラ・減損を迫られた。

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(4)新日鉄住金トップ交代

新日鉄住金・社長交代会見1401C1 進藤孝生・新日鉄住金社長の新体制が発足した。

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(5)名古屋火災など、鉄鋼会社で生産トラブル相次ぐ

高炉、電炉など多くの工場で、生産現場で供給障害が続いた。設備の老朽化や高級鋼による設備負荷拡大、熟練社員の引退などの変化に対応を迫られる。

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(6)東南アジアへ投資続く

JFEスチールが台湾プラスチックのベトナム一貫製鉄計画参画の検討を表明した。新日鉄住金はインドネシアで冷延・めっき材量にらみの合弁事業を決定。特殊鋼、商社・流通も相次ぎ進出する。

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(7)三井物産メタルワン建材が発足

メタルワンと三井物産スチールが国内建材と鉄源事業を統合した。震災復興、東京五輪などで当面堅調な建設需要が見込まれるが、より長期をにらんだ流通再編が進展した。

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(8)東部熱延休止など韓国で構造調整

東部製鉄が電炉一貫熱延ミルを休止した。東国製鋼はユニオン・スチールと統合する。東部特殊鋼は現代製鉄グループが、POSCO特殊鋼は世亜べスチールが買収する。供給過多構造を調整する動きが本格化した。

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(9)革新鋼板開発など国家プロジェクトが本格始動

鉄鋼大手が参加する革新鋼板など自動車向けの革新的構造材料の開発が本格化した。航空機・発電産業向け耐熱合金・金属化合物の開発なども始まった。

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(10)円安一時1ドル120円

年後半にかけてリーマン・ショック前以来の水準に一段の円安が進展した。輸出競争力が回復する一方、原燃料など輸入物価高が輸出の恩恵を受けない中小企業などの負担増を招き、円安の行き過ぎに懸念も出ている。

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