2013年11月6日
世紀の大合併から1年-新日鉄住金、世界最強を目指す -11- ■第2部 鉄鋼事業(6)建材 国内外で存在感高まる 製鉄所組織一体運営 統合効果を加速
業界から「赤本」と呼ばれる冊子がある。正式名称は「建設用資材ハンドブック」。新日鉄住金が需要家の利便性を図るために、同社および関連会社の製品の基本情報を総合的に掲載した製品カタログだ。ある商社マンはその種類の多さに驚いた。掲載されているのはH形鋼や厚板など鋼材、二次加工製品、各種諸資材が400種あまり。基礎資材である建設用鋼材の商品メニューの多さは、圧倒的とも言える。
また国内市場シェア(昨12年度)も、建設用鋼材の代表とされるH形鋼(100%子会社で販売連携をとる日鉄住金スチールを含む)は38・5%、土木用鋼材の鋼矢板は70・4%に達する。
建材を取り巻く環境は、アベノミクスによる国土強靭化、東京オリンピックの開催決定などを受け、長く続いた冬の時代からようやく日が差し始めた。新日鉄住金発足から1年余り。生産、営業、技術いずれも厚みを増す中、建材事業は海外市場をも視野に入れながら、成長ドライブに拍車を掛ける。
【いち早い統合効果】
7事業部の中でも、最も早く統合効果を上げたのは建材事業部だ。発足直後から、外法一定H形鋼やハット型鋼矢板などの生産を堺製鉄所に、比較的大型サイズのH形鋼は鹿島製鉄所にそれぞれ集約。汎用のH形鋼や鋼矢板は需要地に近い形で、東日本向けは鹿島と君津製鉄所、西日本向けは堺と子会社の日鉄住金スチールに分担した。ロットがまとまったことで堺、鹿島の操業率が大きく向上するとともに、一時保管のための中継地集約や、余剰在庫の削減が進んだ。また堺は鉄源(スラブ)供給をこれまで君津・大分の両製鉄所から受けていたが、近隣にある和歌山製鉄所からの分譲に切り替えた。現在は堺の鉄源の80%が和歌山からとなる。こうした効果は近隣立地による輸送費削減にとどまらず、製品歩留まりや販直費の改善にも及んでいるという。さらに来年4月には製鉄所の組織再編で、和歌山と堺が統合する。管理部門を中心にシステム統合も進むため、製鉄所組織の一体運営により、有形・無形の統合効果がもう一段加速されることになる。
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