新日鉄住金は30日、2014年4月1日付で八幡と小倉の両製鉄所、和歌山と堺の両製鉄所、君津製鉄所と東京製造所の6拠点を対象に、同じ地域に置く製造拠点を統合すると発表した。間接コストの低減や技術・技能レベルの向上を図り、競争力を強化する。進藤孝生副社長らが臨んだ記者会見でのコメントは次の通り。
――今回の統合が収益に与える効果は。
「中期計画で発表している2000億円のシナジーに、この統合によるコスト効果がプラスアルファで上乗せされる。具体的な規模、削減額はこれから。これは昨年10月の合併前に明示的に登録されていたものではない。効果の規模を考えても、中期計画を修正することにはならない」
――余剰となったスタッフはどうなるか。
「雇用を減らすつもりはない。中期計画ではスタッフ系社員で10%強の削減を織り込んでいるものの、今回の組織統合分は入れておらず、上乗せになる。スタッフは配置転換するが、リストラは考えておらず、海外進出などに従事してもらう。スタッフは製鉄所全従業員の3分の1から4分の1を占める」
――生産設備の統廃合はあるのか。
「今回はあくまでも組織編成の再編であり、設備の休廃止とは関係がない。中期計画で(君津第3)高炉休止、14ラインの休止を発表しており、それで答えを出している。光地区を含めて製造拠点は16拠点、組織単位は15拠点。今回はこの15のうち3つが統合されるので、12の製造組織単位になる」
――小倉、堺の製鉄所名が消えるが、どのように名前を残す製鉄所を決めたのか。
「所名をどうするかは重要な問題で、議論の結果、大きな製鉄所の方の名前を付けさせてもらった。地元感情に対しては各自治体に十分説明し、納得いただけると思う。呼称として、八幡製鉄所は八幡地区、戸畑地区で運用してきたが、小倉地区と呼ぶことになる。設立は小倉は1918年、堺が1961年、東京は1935年」
――堺への鉄源はすべて和歌山から供給するのか。
「堺の鉄源は80%が和歌山から供給しており、残りは君津で対応している。和歌山の比率を高める。この方が鉄源から圧延までの一貫管理が良くなる」
――人事交流は進むのか。
「統合後、これまで部長以下で三十数人で人事交流を行った。組織統合によって、人事交流にも弾みがつく」
――操業、技術・技能・ノウハウなどの共有化による業務レベル向上で期待される効果は。
「これまでいろいろと所間連携を進めてきたが、これが日常のマネジメントで議論できるので、業務運営上、効率化を図ることができる。また製鉄所ごとで異なる技術的な数値は本社部隊が調整してトランスファーしていたが、今後は1人の所長の下でマネジメントでき、スピードが高まる。技術は製銑、製鋼、設備整備など共通的な技術要素があり、持ち寄って移植できる。技能も整備など優れたものを移植する。ノウハウは優良な調達事例を共有化したり、安全や防災に関する対策や、教育ツールなど有形、無形でレベルアップを図ることができる。1人の製鉄所長が現場を管理する適正な範囲は、各社で考えが異なるものの、われわれの感覚は今ぐらいのくくりである」