伊藤忠丸紅鉄鋼(MISI)100%子会社で特殊鋼ステンレス流通の伊藤忠丸紅特殊鋼(本社=東京都中央区、森川和俊社長)は、総合職の女性が活躍している。産休・育休を経験した特殊鋼本部の宮崎志保さんと、ステンレス本部で入社2年目の池田まおさんに、入社のきっかけや業務内容などを聞いた。
――入社の経緯から。
宮崎さん「大学時代に体育会系の柔道部に所属しており、日夜稽古に励んでおりました。就職活動の時期に部の監督から『鉄鋼業界はどうか』という助言を頂き、身の回りで使われている鉄に興味を抱いて、就職活動を始めました。私は幼い頃から柔道一本でしたので、事務作業よりも外を歩き回るような仕事がいい、という思いもあって当社を応募し、縁あって働くこととなりました」
池田さん「大学で法曹業界を志して学んでいた頃、当社にOB訪問する機会がありました。就職活動でさまざまな企業を訪ね(大学院への進学など)この先の進路に悩みましたが、社員の姿や雰囲気を見て『ここで働きたい』と思ったのは当社だけでした」
――現在の業務内容について。
宮崎「特殊鋼本部で建設機械業界のお客さまへの材料支給や納期管理を担当しています。当社の在庫状況とお客さまからのご要望を合致させ、お応えできるように、手元の情報などと照らし合わせながら、管理を行っています。建機業界は景気の波がありますが、供給が絶えてはならない部品やパーツが多々あり、サプライチェーンを担う使命感を強く感じています」
池田「ステンレス本部で非自動車分野などを担当しています。主な業務は店売り営業で、MIS1とともに新規案件の立ち上げに取り組むこともあります。店売りはお客さまから頂く注文に対し、即座に対応することを心がけています。一つとして同じようなサイズや表面仕上げ、数量がありません、それにレスポンスの早さや対応力が求められ、勉強の毎日です」
――思い出深い出来事は。
宮崎「さまざまありますが、今の業務を担当し始めた頃、ある取引先の方が『流通としての立ち振る舞いから学びなさい』と丁寧に教えてくださったことです。仕事をやりきることとサプライチェーンの責任を果たすなど、自分の仕事のあり方や姿勢が大きく変わりました。私の上司は『必ず君のためになるから』と建機向けに注力するよう後押ししてくれました。取引先と上司の協力もあり、売り上げ拡大につながっています。この経験から、産休中に『もっと頑張れたのではないか』と、以前の私だったら思いもしなかった感情が芽生えました。復職して以降、仕事への思いをますます強くしています」
池田「社内も社外もステンレスのプロばかりなので、取引を円滑にできるか、プレッシャーと不安を感じていました。そんな時、1人でゼロから担当したファブ向けの案件を成約しました。組織の一員として、本当にわずかではありますが、貢献できたことがうれしく、自分に自信を持てました。加えて、社内の皆さんがサポートやフィードバックしてくれる環境があることで、くじけずに仕事を続ける力になっています」
――女性が働くことをどう思うか。
宮崎「働く女性が増えることと、女性が働きやすいということはイコールではないと思います。鉄鋼業界に限らず、女性が働きやすい職場が増えることが大切です。産休育休を経験して感じたのは、長期的に働きやすくて、キャリアに悩むことなく働けることの大切さです。会社は休暇取得や子育てへ理解を示し、サポートしてくれます。しかし保育園に子どもを預ける難しさなど、働きやすい環境整備には企業が解決できない課題もあると感じました」
池田「女性の先輩方がいらっしゃることは心強く安心感があります。宮崎さんのような方に憧れますし、いるだけで安心感があります。この先女性が入社するとしたら、私も心強い先輩の一人になれるよう頑張りたいです」
――これからの目標について。
宮崎「仕事と家庭の両立です。心身ともに健康に、家庭では子どもと笑顔で接し続けたいです。家族と職場の理解があって、今の私がいます。自分のやるべきことを明確にし、真面目に頑張ります」
池田「『あなたと一緒に仕事がしたい、あなただから取引がしたい』と言っていただけるようなキャリアウーマンになりたいです。私にしかできない営業スタイルを確立させ、皆さんと気持ちの良いやりとりができるよう、ステンレス本部の『イケオジ』の皆さんのご指導も頂きつつ、何をすべきか考えていきます」
(北村 康平)
鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。