新日鉄住金は18日、大分製鉄所厚板工場火災事故について原因と再発防止策の記者会見を同所で行った。出席したのは上野浩光・執行役員所長、大塚良朗・生産技術部長、中村新吾・総務部長の3人。以下一問一答。
――被災面積は。
「電気室の1階が4200平方メートル、2階が900平方メートル、地下が4200平方メートルの合計9300平方メートル。消防法上は地下を含まないので、1階と2階の合計5100平方メートル」
――接触器の異常について。
「接触器は電磁石で回路の開閉を行っている。制御指令を出す機器が本来開閉させてはいけないタイミングで開閉させる指令を出した。指令を出す基盤が異常だった」
――その原因は。
「基板上の電子素子が信号を発しているが、それが異常となったと推定している。同種の基板は大分製鉄所内に53あり、厚板工場以外については取り替えを行った」
――厚板工場操業再開時期が早まった理由は。
「1月時点では被災状況や土木建築部分の工程が分からなかった。関係者の努力で順調に進んだ。8月上旬の再開を目標に残りの工事を進めている」
――生産量について。
「大分の厚板生産能力は年間240万トン、全社で年間約500万トン。他所への代替生産、他社への応援要請を行っている中、当社の出荷減の影響はあるが、市場全体への影響は他社やお客様の事情などがあり、コメントは差し控える。なお大分の粗鋼生産量は2016年度で944万トン」
――厚板工場の現状を。
「電気室については新設に近い状態で、再発防止策を織り込んで工事を進めている。圧延機は停止しているが、精整ラインは稼働しており、他所で生産した厚板の精整を行っている」
――損失額は。
「16年度の経常損失として約100億円、解体費と修繕費を含んだ特別損失は78億円を計上している。17年度においては約100億円の経常損失を見ている。新しく作り直すもの(リプレース)については、設備投資費として精査する」
――再発防止に際し、操業再開に向けてどのような姿勢で取り組むのか。
「現場の最前線までの全員が防災意識を向上すること、防災リスクの管理を徹底することの2点を目標とする。防災に対する研修会を開催したり、全員が火災を発生させないために、あるいは万一発生したときにどう初動するかなどの防災カードを持つ、火気の取り扱いなどのデモンストレーションを行う。防災リスクの管理について、リスクアセスメントや防災パトロール、発災のシナリオごとの工場ごとの訓練などを行う」
――8月上旬の操業再開に向けてコメントを。
「今回、火災事故を起こし、関係各位にご迷惑ご心配をおかけした。この事実を重く受け止め、今回の防災対策を実行し、この対策の効果を発揮すべく訓練を従業員全員が行う。防災対策のハードとソフトの両面がそろった稼働再開に臨みたい」
【大分】