2016年4月19日
熊本地震鉄鋼各社への影響、大鉄・熊本復旧めど立たず
14日に発生した最大震度7の熊本地震は、16日午前1時25分にマグニチュード7・3、最大震度6強が発生。また、熊本県阿蘇地方、大分県西部地方、同中部地方でも地震が多発し、被害がさらに拡大した。鉄鋼業では、新日鉄住金の八幡製鉄所と大分製鉄所が16日の本震発生後に設備を点検。異常は無く通常通り操業している。生産計画について、18日午前の段階では従来通りの生産。今後については「自動車など、需要業界の動向を見ながら検討していく」(八幡製鉄所広報)考え。
電炉は大阪製鉄西日本熊本工場が被災。従業員については家族も含めて全員の安全が確認されたものの、余震が続いているため、工場の立ち入り等が難しく、被害状況は全て把握できていないという。
同社によると18日午前9時時点では生産を停止しており、建屋外壁や屋根の一部が崩落しているほか、電気関係設備も一部損傷するなど復旧のめどは立っていない。余震が続くとともに停電・断水中のため、同社では状況が回復次第、詳細調査を進めるとしている。
大鉄熊本工場に近いスクラップヤード業者のカネムラエコワークスは高さ47メートルあるガス化溶融炉の煙突が倒れた。溶融炉は数年前に停止していた。また、スクラップなどが荷崩れしたため、片付けを行っている。設備は電気が通っているため、切断設備を稼働させ、緊急入荷などに対応している。
熊本県の鋼材特約店は事務所および倉庫で、建物は無事だが書類の散乱や窓ガラスの破損、天井パネルの落下、鋼材の荷崩れなどの被害を受けた。停電や電話の不通が繰り返されているという。現在、自宅が無事で出社してきた社員を中心に、片付けを行っている。このうちある特約店は天井クレーンが無事だったたことから、「19日からの鋼材出荷が可能」(担当者)としている。また、別の特約店は「従業員の水や食料が不足している」と窮状を訴えるが、「少しずつだが、メーカーや商社から支援の手がさしのべられている」と語る。
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