日本鉄リサイクル工業会の国際ネットワーク委員会が主催し、11日に石川県立音楽堂(金沢市)で行われた第5回国際鉄リサイクルフォーラムで、第1部「東アジアの鉄スクラップの現状と見込み」では、鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長、中国廃鋼鉄応用協会の李樹斌副会長、韓国鉄鋼協会の丁基澈常務理事、第2部「各国の鉄スクラップ業界の現状とサバイバル」では伊藤清・スズトクホールディングス社長、欒貴福・朝陽議通金属再生資源総経理、金・東和産業代表理事が登壇し、それぞれパネルディスカッションを行った。
韓国の丁氏は同国内需不振に加え、中国鋼材の輸入増による過当競争で鉄鋼業が厳しい状況にあると説明。中国の李氏は「16年からの13次5カ年計画以降の粗鋼生産は年間8億トンを維持する。鋼材消費量は8億トンに達しないと思われる」とした。丁氏は「北東アジアを中心に供給過剰が解消されなければこの状態が続く」と引き続きコスト削減努力が必要と述べ、林氏も「日本の鉄スクラップは、東南アジアやインドなど遠隔地市場を開拓していかなければならないが、中韓の鋼材市場でもある。日本国内の鉄の循環は維持しなければならず、需要先として高炉メーカー、国内回帰もあり得る」とした。
日本産鉄スクラップについては、中国の李氏が「非常に質が高く、オーダー、デリバリーとも問題ないが、価格が中国産のものより300―400元高価。日本からの輸出価格が下がれば中国企業が多く日本産を使用するだろう」としたほか、韓国の丁氏は「価格は市場によるが、日本国内より輸出向けが品質が低いという指摘がある」とし、また「放射能の検査基準は11月以降、政府が厳しく点検するとしている。機材や測定、設定を支障ないよう調整していただきたい」と要望した。