新日鉄住金・名古屋製鉄所で3日午後0時35分ごろ第1コークス炉の石炭塔で爆発とみられる異常燃焼が発生、ベルトコンベヤーにも引火し、大量の煙を発生させるとともに、15人の負傷者を出す事故が発生した。これを受け3日午後2時過ぎから高炉や製鋼、圧延などの操業を順次停止した。4日午前3時33分に鎮火したが、事故原因の究明や業務上過失傷害の疑いもあり、4日午前10時から消防庁や地元の警察署、消防本部などが立ち入り調査に入っている。
事故発生の3日午後5時から、酒本義嗣・常務執行役員名古屋製鉄所長らが出席し記者会見を開催。「地元地域や関係者にご迷惑をおかけするとともに、度重なる事故を発生させたことをおわびします。当社社員や協力会社の社員が被災したことは大変申し訳ないと思っている」と述べ、事故の概要説明を行った。また「これまでの事故を受け現在、部外者も加えた2つの委員会を立ち上げており、原因究明を行うとともに、ユーザーに対しては減産規模にもよるが全社を挙げて対応し、迷惑をかけないようにする」と全社ベースでの対策実施を取ることを明らかにした。
会見説明によると、3日午前10時半ごろ第1コークス炉の石炭塔で発煙を発見。消防署に連絡したが、火災ではなかったため消火はせず、正午ごろに撤収した。その後0時35分ごろ石炭塔で異常燃焼が起こり、作業中の15人が負傷。休止している第3コークス炉につながるコンベヤーに引火するとともに、2時過ぎからはコークス炉から燃焼放散を行った。
設備の操業については、午後2時15分から製鋼の操業を休止、3時30分に第1高炉、4時30分には第3高炉でそれぞれ休風に入った。また圧延ラインについては2時過ぎからガスを使用するホットや厚板などの操業を休止、「午後5時現在、生産は小規模にとどまっている」と説明した。石炭塔での異常燃焼やベルトコンベヤーへの延焼など事故の原因は不明で、調査を行っていると説明。今後は原因究明を続けるとともに、再発防止策を検討すると述べた。
同製鉄所は1958年地元財界と旧富士製鉄が協力し、東海製鉄としてスタート。粗鋼生産は年間670万トン規模で半数は自動車向け鋼板が占めており、近隣地区にある自動車メーカーがメーンユーザーとなっている。4日早朝に鎮火したことで、今後は本格的に事故の調査に乗り出し、設備状況をみながら減産規模などを調べるが、今年に入ってから5回目の発煙事故であり、負傷者も発生した。酒本所長は「設備老朽化が直接の原因とは考えていない。一方でベテランが退社し、中途採用や新卒採用を行っているが、問題点を抽出する必要がある」。「今後は行政等の判断を仰いでから、再稼働を行う。全社ベースで最善、万全の対策に取り組みたい」としている。