2012年8月14日
12年上期回顧と秋口見通し、関東・Ni系ステン冷薄
関東地区のニッケル系ステンレス冷延薄板は、昨年から在庫率が2カ月を超える水準が続いていたが、年初からのニッケル価格上昇を背景に製品の先高観が台頭し、需給バランスも改善、国内需要は緩やかに回復の兆しを見せていた。伴って在庫率も1カ月台に下がるなど、約1年ぶりに市況上昇の下地は整えつつあった。
しかし、3月後半からのニッケル価格下落により、ニッケル系ステンレスの市中販売量は急減し、4月の全国ステンレスコイルセンター工業会統計ではニッケル系冷延品は前月比12・4%下落。一転して先安観がマーケットを支配した。
以降、荷動きは低迷。流通の収益は4、5、6月と月を追うごとに悪化した。メーカーも前期の経常赤字を引きずるように、4―6月の収益は一貫メーカー全社が赤字に陥った。医療向け、業務用厨房など、一部業界におけるステンレス需要は堅調に推移したが、一般建築向けは低迷し、ニッケル系もその影響を受けた。
「価格の独り歩き」に対しては、慎重な受注姿勢を保つ流通もあるが、期末となる9月には再び「局地戦から全体市況に波及する」(都内流通)と懸念する声が高まっている。
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