福島県の原発事故を受けて放射線量が通常の水準を上回っている中、関東地区の電炉メーカーは鉄スクラップを購入する際の対応策を随時講じている。企業により手段は異なるが、各社とも従来なかった事態に対し慎重な姿勢を維持している。
日本鉄鋼連盟は従来から加盟メーカーに対し、隔離を必要とする放射線量のレベルを5マイクロシーベルトに設定することを提案している。ただ、メーカー各社の鉄スクラップ受け入れ基準はそれぞれ独自なことに加えて、検知器が反応する数値が非常に低いレベルに設定されている。
このため、メーカーに輸送されてきた鉄スクラップそのものではなく、大気中や運搬車両から通常より高いレベルの放射線量が検出され、検知器が反応しているケースが相次いでいる。
メーカー各社の対応は「検知器が作動した段階で返品措置を講じる」「輸送車両から異常値が検出された場合、検出された数値によっては、運ばれてきた鉄スクラップは購入する」など企業により異なる。また、鉄スクラップ業者に対し、事前に運搬車両を洗浄するよう要請しているメーカーもあり、「先週に比べれば、検知器が反応する回数は少なくなった」との声が聞かれる。
一方、供給サイドも、放射線検知器の反応レベルに関しては各社独自の基準を設けているが、「鉄スクラップを仕入れる際は慎重な対応を続けている」(ヤード筋)という。