【仙台】東北地区の大手鉄骨加工業者の鋼材調達が困難となっているため、一部高炉メーカーが緊急的な生産対応を検討している。物流拠点の仙台港と八戸港が被災し再開のめどが立たないため、「メーカーから2カ月かかるところを1カ月に短縮して新規にロールする協力を受けた」(岩手県の大手ファブ首脳)ところもある。ただ、高炉側も電力や物流の事情から生産計画を立て直している段階にあり、鋼材の調達難解消にはなお時間を要する見込みだ。
H形鋼やコラム、厚板など建築鋼材は仙台港や八戸港、仙台南の鋼材流通団地を経由して東北各地に供給される割合が多い。両港と流通団地は津波を受けて機能を停止。関東から陸送での輸送が検討されているが、東北自動車道は一般車両が通行止めであり、一般道を迂回するもガソリン不足から遠距離輸送が難しくなっている。
鋼材の多くは物件ごとに使用が規定されているため融通が利かず、他業者からの調達も難しいため、大手ファブは在庫消化でしのいでいる。一部で溶接用ガスも不足し、「今週には使い切り、来週以降、どうしようか悩んでいる」(岩手県の別の大手ファブ首脳)と鉄骨製作の中断を懸念する声も。資材不足などからビル建築現場での工事の延期が増えており、「社員を自宅待機にし、来週に雇用助成金を申請する」(同)など対策に追われている。
震災を受けたファブも多く、駒井ハルテックグループの大手鉄骨ファブの東北鉄骨橋梁は宮城県の岩沼工場が津波で浸水。岩手県三陸沿岸の鉄骨ファブは深刻で、「連絡が取れない組合員がいる」(岩手県鉄構工業協同組合)という。一部厚板シャーリング業者が津波の影響で操業を停止するなど材料加工にも影響が出ている。