韓国の鉄スクラップ市場は、先週末の韓国内鉄スクラップ購入価格の値下げが回避された格好だが、改めて今週から中小電炉を主体に値下げ実施になる見通し。南部地区の韓国鉄鋼、大韓製鋼がトン当たり1万ウォンの値下げをアナウンスしている。東部製鉄は生鉄(新断)だけ先週末から1万ウォン下げ。現代製鉄、東国製鋼などの大手メーカーは様子見で動かない可能性もある。今回のスクラップ値下げは3月の製品値上げが難しくなったことが背景にあり、電炉の収益状況は依然厳しい。
韓国のスクラップ市場は大手電炉の在庫水準が高い中で、コスト対策から、先週末実施で購入価格の値下げが検討されていた。ところがアメリカ東海岸積み価格の反騰、トルコメーカーの買い契約再開などから様子見となっていた。POSCOは入荷規制を実施して量をコントロールしている。
日本市場で5月連休対策の動きが4月から出てくるため、いずれ先高との判断はある。5月まで継続上げにならないよう、一旦値下げしたいというのが大方の意向。ヤード業者の在庫が少ないため、値下げしてもあまり影響が無いことも材料となっている。加えて東京製鐵が11日から全工場で1000円値下げしたことも安心感を与えた。
値下げは、日本市場と競合する釜山地区を集荷エリアとする大韓製鋼、韓国鉄鋼が1万ウォン下げで先行。中部から北部の京仁地区を集荷エリアとする世亜ベスチール、東部製鉄などは様子見。生鉄だけの値上げだが、他品種は据え置く可能性がある。韓国市場で最大の影響力がある現代製鉄は先週末から小幅下げを示唆していたが、実質的に回避。今週から再度市場動向を見ながら判断することになる。仮に現代製鉄が値下げを実施すると末端の集荷が停滞するとの観測もある。このため表面値下げ、特別枠据え置きといった政策的な価格設定になる可能性も指摘されている。
全国的な市場動向は、3月上旬までヤード業者の出荷が旺盛で玉不足が顕著になっている。このためメーカーが値下げしても安値での購入は難しいと見られている。
韓国市場は足下の需給面から見れば、工場在庫が比較的潤沢になった電炉サイドが有利に価格設定できる状況にある。しかし下げのタイミングを間違った。アメリカや日本が下げ市況の時に値下げに動けなかった。
すでにアメリカ東海岸積み価格の反発とトルコメーカーの買い付け再開の動きがある。さらに一部のヤード業者が買い意欲の高まった中国メーカーに輸出契約をする動きもある。今回の韓国の下げは、南部の嶺南地区メーカーだけに止まる可能性もある。