現代製鉄、東国製鋼など韓国の電炉メーカーは、国内鉄スクラップ価格を今週末値下げする可能性が示唆されていたが、大手は回避の方向で調整し始めた。全体としては量の確保が一段落したため値下げしてコストを下げる意向が強かった。しかし値下げでは入荷水準が大きく低下する懸念があり、様子を見ることになった。韓国内の異形棒メーカーは、前期で営業収益が赤字化しているところが多く、中小電炉は値下げの可能性を捨ててはいない。
韓国電炉は、11月以降海外市場の上昇と国内発生減から国内の鉄スクラップ購入価格を段階的に値上げ。3月までの上げ幅は、トン当たり13万ウォン前後に達している。これに対し、異形棒価格の値上げは1月5万ウォン、2月5万ウォンの10万ウォンだけ。3万ウォンが赤字要因として残されている。このため3月積みでの製品値上げが検討されているが、現状では厳しい。解決策として今週末からのスクラップ値下げが示唆されていた。
これに対し、韓国内の大手ヤード業者は、日本市場との格差(韓国が安い)がある中での値下げは容認できないとの空気が強い。仮に値下げされれば、もともとヤード内在庫が少ないこともあり、電炉への出荷量は大きく低下するとの見方がある。
こうしたヤード業者の意向と5月連休に向け日本市場が例年高値寄りに展開する時期に入ることから値下げ慎重論が強くなっている。
ただ小棒業界では、韓国鉄鋼が前期営業利益が21億ウォンの赤字、大韓製鋼は営業利益が前期比65%減(215億ウォンの黒字)になるなど経営状況は厳しい。
大手の現代製鉄、東国製鋼は、直近で日本産を4万円以下で契約するなどスポット輸入契約が順調。現代製鉄は工場在庫60万ー70万㌧の目処も付いているようで、購入価格の調整は非常に微妙な状況にある。