現代製鉄、東国製鋼など韓国の電炉メーカー各社は、国内鉄スクラップ購入価格の設定に苦慮している。京仁地区(韓国北部)、嶺南地区(南部)メーカーとも、在庫水準は高くない状況が続いている。アメリカ産カーゴベースの輸入スクラップは3月末に集中して入荷する。それまでの分を国内で調達するか軟化傾向の日本産で繋ぐか、微妙な判断を迫られている。
韓国の電炉各社は、月間60万トン強の輸入スクラップを背景に国内産の価格を低く抑えて購入している。ところが1月は39万4700トンしか入荷せず、昨年1月の61万トンに比べ21万トンも少なかった。特にアメリカ産は価格が高かったこともあり、7万7000トンと66%も減少している。この結果1月後半以降、国内産の調達を高めるため期間限定の特別枠価格で1万5000ウォンー5万5000ウォンの実質値上げを実施している。最大手の現代製鉄は、2月14日からそれまで期間限定で値上げしていた1万5000ウォンー2万ウォンをリスト価格に横滑りさせて底上げを実施。さらにその後10日間限定で1万ウォン上げている。この分は、期間明けの3月2日から元に戻し1万ウォンの値下となっている。
今週末から来週以降分の価格設定は、基本的には日本などの市況軟化で値上げする環境には無い。しかし本格的な需要期に向けある程度在庫を確保しておきたい状況であり、値上げの感触を含ませた対応となっている。
こうした中3月の輸入スクラップの概要が固まってきたが、アメリカ産は、明確になっている分で現代製鉄、世亜ベスチール、東部製鉄、東国製鋼などで7カーゴ、30万トン前後。3月末の入荷が中心。これに日本からのスポット20万トンをあわせても50万トン前後にしかならない。このため日本産のスポット買いをもう少し膨らませる必要がある。
現代製鉄などの大手は、本格的な春需に向け多少の増産の方向にあり、スクラップ在庫は積み増したいところ。今週は、特別枠廃止で1万ウォンの値下となっているが、量を確保するためには、値上げも視野に入っている。ただ海外の輸出市場は、北アフリカ、中東情勢の混乱から軟化しており、単純に国内事情だけで値上げするのは、難しい局面にある。