韓国政府は、旧正月(2月3日)明け以降の建設鋼材価格の上昇に強い懸念を持っており、政策的な是正に乗り出した。すでに異形棒メーカーに対し、2月からの値上げ抑制を要請。これを支援するため調達庁は、2月中にも政府備蓄鉄スクラップの放出を表明した。しかし、市場は海外動向を取り込んで独自の動きをしており、来週後半からの鉄スクラップ、異形棒価格の上昇は避けられないとみられている。
韓国経済は、自動車、造船、家電製品を中心に活動水準が好調。2010年のGDP成長率は6%と、OECD加盟国の中では高水準。一方で資源高から来る基礎資材価格の上昇が懸念されている。とりわけ製造業、建設向けなどで広範に使用される鋼材価格には政府も神経質で、昨年後半から政策的な動きを強めている。
鉄鋼部門では、苦境にあえぐ建設業支援といった視点から主力資材の異形棒の値上げ抑制を指導。スクラップ価格上昇幅が昨年11月以降すでにトン10万ウォンを大きく上回っている中で、電炉メーカーの製品値上げの延期を要請している。主力電炉の中では、韓国特殊形鋼と現代製鉄が今週からアングル、チャンネルの価格を4万―5万ウォン値上げ。続けて異形棒の値上げを予定しているが、月内での値上げ発表は難しい状況。
値上げ繰り延べの支援策として調達庁は、昨年度から実施している政府備蓄の鉄スクラップの放出を表明している。ただ国家備蓄は開始されたばかりで、全体でも4万―5万トンしかない。仮に半分放出しても、国内で高炉を含め月間消費200万トンを上回る市場の価格沈静策としては効果は低い。
韓国のスクラップ市場は、3日の旧正月に向け実質的な休業状態にある。今週初めから大韓製鋼、現代製鉄などが期間限定で実施していた鉄スクラップ購入価格の値上げを解除し、1―2万ウォンの値下げを実施している。しかしこの値下げは、旧正月休み対応のもので、市場の需給はタイト。このため来週後半から再度スクラップ価格は、動意づく可能性が高いとみられている。
知識経済部は、鉄鋼部門では唯一の国内資源である鉄スクラップの市場安定化と競争力強化に着手。POSCO、現代製鉄、東国製鋼、東部製鉄など鉄鋼メーカー10社とスクラップヤード業者14社を招き、スクラップ購入時の決済を手形から現金に段階的に移行させるよう要請。90日以上のサイトは今年末までに60日に短縮。さらに中期的には現金化を志向、ヤード業者の基盤強化にも着手している。