北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)と産業技術総合研究所、理化学研究所はこのほど、天然鉱物のテトラヘドライトがセ氏400度付近で高い熱電変換性能を示すことを発見したと発表した。熱電変換は固体素子を使い、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する技術。自動車や工場からの廃熱は、300―500度の中温域に多く分布する。この廃熱を、身近で安全な元素を使って、有効利用できる可能性が広がる。
テトラヘドライトは銅や硫黄を含む、古くから知られる天然鉱物。今回の研究では、テトラヘドライトの母体に含まれる銅を、わずかにニッケルに置き換えた材料が、400度付近で熱電変換効率7%相当の高い性能を示した。性能を高めるため、ニッケルの置換量を細かく調整した。
既存の熱電発電システムに組み込まれるビスマス―テルル系材料は、使用上限温度が250度と低い。中温域で高い熱電変換性能を示す新規材料の開発が進められているが、現在有望視される材料は鉛などの有害元素を多く含み、実用化の障壁になっている。