NTNは、外部から電力や潤滑油の供給を行うことなく、軸受け内部に長期間潤滑油の安定供給が可能な「自己発電型潤滑油供給ユニット」を開発した。
工作機械の主軸には、環境負荷低減の観点から、潤滑油搬送のエア音やオイルミストが発生しないグリース潤滑が多く使用されている。しかし、グリース潤滑は、初期封入グリースが消費された時点で寿命となるため、その長寿命化が課題とされていた。
同社では、グリース封入軸受けの長寿命化を目的に、軸受け内部へグリースの基油を微量ずつ供給する新グリース潤滑システムを2006年に開発。今回、このシステムのコンセプトをさらに発展させ、電子応用技術により信頼性を高めた業界初の自己発電型潤滑油供給ユニットを開発した。
新開発ユニットは、軸受けに隣接する外輪座間と呼ぶ部品に、発電装置や蓄電装置、制御装置、潤滑油タンク、油吐出用ポンプを内蔵。回転時に発生する軸受けの内外輪温度差によって発電し、ポンプを駆動して軸受け内部に潤滑油を微量供給する。供給する油量や供給の間隔は、プログラム制御するため、長期間安定した給油が可能。また、配管や配線を必要としないため、従来の軸受けと同様に工作機械のスピンドルに組み込むことができる。