山陽特殊製鋼は12日、自動車部品製造に使用されるハンマー鍛造用型やダイホルダーなど金型の寿命を伸ばす熱間金型用鋼「QT41―ハーモテックス」を開発したと発表した。鋼材内部の炭化物の形状や組織を改良し、靱性は従来材比約2倍、軟化抵抗性は同1・5倍に向上したため、金型の割れや摩耗などを抑制する。
被加工材の温度がセ氏900―1200度程度で使用されるハンマー鍛造などの金型には、代表的な熱間金型用鋼として、JIS規格鋼STK4が使用されており、同社ではSTK4に改良を加えた「QT41」を市場投入してきた。しかし、塑性加工技術の進歩に伴い、製品の複雑形状化が進み、金型への負荷が増大する中、金型材料に対する一層のひび割れ・欠けや摩耗・へたりに対する抵抗性の向上による長寿命化へのニーズの高まりを受けて、同社ではQT41の材料特性を大幅に改善したQT41―ハーモテックスを開発した。
QT41―ハーモテックスは、合金元素を減少させながら、鋼材の組織を最適化することで材料特性を向上。炭化物の形態制御により、靱性は従来の約2倍に向上し、金型使用時の割れや欠けを制御する。同時に組織の熱的安定性を高めたことで、軟化抵抗性は従来材の約1・5倍に改善し、金型の長期使用時の摩耗やへたりを抑制する。