2012年4月20日
NSSC、304代替二相ステンレスを開発 溶接性・強度2倍に
新日鉄住金ステンレス(NSSC)は19日、大入熱溶接が可能なSUS304代替二相ステンレス厚中板「NSSC2120」(21%Cr―2%Ni―N)を世界で初めて開発したと発表した。溶接効率を従来の二相ステンレス比で2倍以上に改善、強度もSU304比で約2倍(0・2%耐力)に高めた。価格はSUS304同等以下に抑え、需要家の素材調達コスト低減に寄与する。
NSSCが開発したリーン型二相ステンレス「NSSC2120」は、4Hi製品で最大板厚60ミリ、4メートル幅まで製造できる。独自の成分設計と製造技術により、溶接性を従来のリーン型二相ステンレス「S32101」より2倍(パス数半減)に高め、大入熱溶接が可能となった。
これまでのSUS304代替二相ステンレスは溶接性に課題があり、溶接熱影響部の耐食性が劣化するなど大入熱溶接はできなかった。NSSC2120はケミカルタンカー、海水淡水化装置、製紙設備など大型構造物の施工にも適用できる。ASTM規格を今夏ごろまでに取得予定(UNSナンバー=S82122)。通常熱処理材、TMCP材、クラッド材の3種類が供給可能で、日本海事協会(NK)船級を取得している
。 またSUS304に比べ約2倍の強度も確保しており、設計板厚の薄肉化により鋼材使用量を最大5割削減できるほか、レアメタルであるニッケル、モリブデンの添加量を削減したステンレスであり、SUS304に比べ省資源性と価格安定性に優れる。
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