新日鉄住金ステンレス(NSSC)と東京ステンレス研磨興業(本社=東京都墨田区)は14日、両社の技術を融合した高級研磨仕上げステンレスを商品化したと発表した。東研が開発した新メカノケミカルデスケーリング(電解砥粒減面、EGR)技術を用いて、NSSC八幡製造所で製造する高平坦度の厚板シート材を高付加価値ステンレスに仕上げ、ユーザーニーズに対応したソリューションを展開する。NSSCの厚板シート材をEGR処理することで、研磨パスが従来の半分以下で済み、ショットブラストや酸洗など、環境負荷となる工期が短縮される。研磨時に発生する熱影響による歪みが少ないため、高い平坦度も確保する。
両社の技術とノウハウの融合により「クリスタルシリーズ」として新しい高級研磨仕上げのステンレス製品を販売する。一つ目の「クリスタルサーフ」はNSSC母材にEGR処理を施し仕上げ研磨することで、滑らかな表面を実現する。2つ目の「クリスタル(400)」はEGRで下地処理し80番から800番仕上げまでの機械研磨が可能となる。3つ目のクリスタルミラー」はEGRで下地処理し、高精度・高光沢の鏡面(No8)研磨で仕上げる。高平坦度の厚板を素材に用いることで最大2600ミリの広幅鏡面が可能。
東研のEGR技術は、従来の電解研磨と機械研磨を融合した技術で、昨年12月に基本特許が国内登録された。
この技術を使うと、素材表面の欠陥除去効果が高く、粗目やピットがほぼ消えるという。電解砥粒ヘッドを回転させながら高速で中性電解液を送り通電。短時間で効率的に1パスで30ミクロンも削れるという(通常研磨は数ミクロンにとどまる)。
熱延スケールを有する表面(黒皮材)にも直接適用でき、酸洗が不要となることで、環境にも優しい技術として注目される。薄板、厚板、半製品など最大幅2600ミリに対応する。