2011年10月5日

マツダ・住金・アイシン高丘、高強度薄板部材を開発 世界初1800MPa

 マツダは4日、住友金属工業とアイシン高丘と共同で世界最高の強度を持つ1800メガパスカル(MPa)級高張力鋼板を使った自動車用部材の開発に成功したと発表した。低強度域で熱間成形を行った後に、冷却して焼き入れを行うことで高強度にする、ホットプレス工法と呼ばれる技術を使った。ホットプレス工法ではこれまで1500メガパスカル級が限界とみられていたが、3社で素材・制御・加工技術の最適化を図り、薄板部材として世界で初めて1800メガパスカル級の強度部材を実現した。

新製品・新技術 開発した自動車用部材は、フロントおよびリアバンパーの内側に設置し、衝突時に車体が受けるダメージを低減させるバンパービーム。従来の部材に比べ強度が約20%向上し、重量が約4・8キログラムの軽量化となる。マツダではこのバンパービームを取り入れた新世代の軽量剛性ボディ「スカイアクティブボディ」を、2012年初頭から販売開始するグローバル戦略車の新型クロスオーバーSUV「CX―5」に、世界で初めて採用することを決めた。

 高い引張強度を持つ高張力鋼板は、同じ強度で薄肉化が可能になるため、車体軽量化に向けた重要な素材となる。特に車体の最前端と最高端に設置されるバンパービームは、重量が走行時の振動やハンドリング性能に大きく影響することから、軽量化が不可欠な部材とされる。ただ、強度が増すと衝突時のエネルギーを吸収する柔軟性が欠けるため、衝突時の部材変形の検証を重ね、より効率的にエネルギーを吸収するバンパービームの形状を新たに開発。さらに部材の持つ強度を車体搭載時にも最大限引き出すため、双葉工業と共同で溶接条件の最適化を進め、安定した製造技術を確立した。

 なおこれまで自動車用薄板部材での最高強度は、高周波焼き入れ工法を使った1650メガパスカル級とされる。

スポンサーリンク