2011年6月27日
住友電工、アルミ多孔体を開発 箔より高容量・省体積
住友電気工業は24日、ニッケルの金属多孔体・セルメットと同様なプロセスでアルミニウム多孔体「アルミセルメット」の開発に成功したと発表した。
アルミの比重はニッケル約3分の1と軽量で、電気抵抗もニッケルの半分以下で高い導電性を有し、リチウムイオン二次電池など充放電電圧の高い二次電池や、キャパシタの集電体にも適用が可能。現在、リチウムイオン電池の正極集電体にはアルミ箔が、負極集電体には銅箔が使用され、アルミ箔の代わりに「アルミセルメット」を適用した場合、単位面積当たりの正極活物質量を増やせる。同社は自動車などに搭載される組電池に当てはめると、電池容量は1・5倍から3倍、電池体積は3分の1から3分の2に低減できると試算した。
これにより同社は、例えば太陽光などの自然エネルギーや燃料電池で発電した電気を蓄えるための家庭用蓄電池などに使用する場合、省スペースを実現できるとしている。
一方、キャパシタの場合、正負極両方の集電体にアルミ箔が使用されているが、「アルミセルメット」を適用すれば、リチウムイオン電池と同様の高容量化・省スペースの効果を見込める。
「セルメット」はニッケルやニッケルクロム合金の金属多孔体で、製造工程は発泡樹脂に導電処理した後、ニッケルめっきを施し、熱処理により発泡樹脂を除去する。これにより金属不織布、発泡金属などの他の金属多孔体にはない大きな気孔率として最大98%を有する。また、三次元網目状の連通構造で目詰まりがないなどの特長がある。電池に使用する活物質の充填性・保持性および集電性を生かし、最近ではハイブリッド自動車用ニッケル水素電池の正極集電体に採用されている。
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