LPガス容器やバルク貯槽などの製造販売を手がける、萩尾高圧容器(本社=愛媛県新居浜市)は、内面にめっき処理を施して防錆性を高めたフロンガス回収容器を開発、4月から販売を開始する。回収したフロンガスを再利用するため、耐食性を高めた回収容器のニーズが高まっており、自社技術を生かして受注拡大をめざす。
同社では2003年ごろからフロンガス回収容器の製造を手がけている。技術を生かして内部にめっきを施工する前に、内面を酸洗するための特殊装置を開発、工場に導入した。組み立てた後に密閉状態で容器の内面を洗浄できる専用装置。めっきは、前工程の洗浄が確実にできていないと均一にコーティングができないのが難点だった。
同社では、酸洗洗浄とスチーム乾燥を行い、めっき施工作業は専門業者に外注、無電解ニッケルめっきを施工する。容器内面に均一なめっき皮膜を形成する。無電解ニッケルめっきにより、高い耐腐食性が付加される。溶接を伴う形状の製品では、継手形状で品質を確保できる。
フロンガスは、オゾン層破壊物質の特定フロンの生産は全廃されたが、冷蔵冷凍設備や空調機器の内部で冷媒として使われている。また、2001年に制定された法律により機器を破棄する際に、フロン類の回収が義務付けられている。
回収したフロンガスの再利用が広がっているが、保管時に容器内面に空気や水分が混入することで腐食やさびが発生するため、フロンガスの品質維持の観点から対策が求められていた。現在、行われているパーカー処理(リン酸塩処理)だけでは、塗装の下地処理で有効な防錆効果は得られていない。