日立製作所は6日、ハードディスクドライブ(HDD)のモーターやエアコンなどコンプレッサーから、レアアース磁石をリサイクルする技術を開発したと発表した。ネオジムやジスプロシウムを含有する使用済みレアアース磁石を分離・回収する装置を開発するとともに、乾式手法による実験で、レアアースを抽出することに成功した。同社はリサイクル全体のコストや回収率の試算などを経て、2013年をめどに本格稼働をめざす考え。
同社はこれまでの手作業でHDDからレアアース磁石を分離・回収する場合、作業員1人で約5分を要するのに対し、今回開発した装置では約8倍の効率で分離・回収できることを確認した。これにより1時間当たり12台だった手作業効率が、機械化の開発に伴い100台程度のHDDを処理できるようになる。従来、分離が困難だったコンプレッサーを、新たな切断装置や脱磁装置の開発で、高効率で安全な分離回収を可能とした。
分離・回収したレアアース磁石から、ネオジムやジスプロシウムといった重希土類を抽出する工程は、これまで酸などの化学薬品を使用してきたため廃液処理を必要とし、コスト、環境保全面で課題を有していた。今回、新たにレアアースと親和性の高い特定の抽出媒体による乾式手法を開発したことで、これら課題を低減化できる見通し。