2010年9月14日
スチールプランテック、電炉ダストを無害化・鉄分回収
JFEグループの大手製鉄機械メーカー、スチールプランテック(SP)は13日、電炉で発生するダストの無害化と金属分を回収する、溶融還元式電炉ダスト処理プロセスを実用化したと発表した。台湾の電炉グループの嘉特技術開発(KATEC)で1号機を9月に商業運転させた。ダストから鉄分を回収し、原料に利用。高濃度粗酸化亜鉛も回収し、外販を可能にする。
電炉鋼からは約2%のダストが発生し、国内の年間電炉粗鋼3000万トンの50万トンに相当する。ダストの成分は鉄が約30%、亜鉛約20%、塩素約5%。新プロセスを月産3万トンの平均的電炉メーカーが採用すれば、200トン程度の鉄分が回収でき、酸化亜鉛を外販することによる利益も得られる。外部に委託しているダスト処理の費用(トン約2万円)も削減できる。
新プロセスはダストをブリケット(豆炭状)化し、還元剤のコークスとともに溶解炉に供給して、電気エネルギーで溶融還元する。排ガス中には高濃度の酸化亜鉛と塩素が含まれ、安定運転を阻害するが、1300℃の高温で完全溶融することで問題を解消した。産廃処理や電炉ダスト処理を行っているKATECとの共同開発で、SPが台湾以外での販売権を持つ。SPはすでに複数の国内電炉と導入の条件などについて検討を行っており、販売金額は10億円以下を想定している。
ダストの無害化と金属回収には従来、ロータリーキルン法(回転式炉)が広く採用(国内処理の約60%)されているが、鉄分の回収が不十分で、キルンから排出されるクリンカー(焼塊)に残留する、半還元の鉄分と高濃度の重金属が問題視されている。
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