1 銅や金が史上最高値更新 銅建値は175万円に
ロンドン金属取引所(LME)の銅は5月20日、現物セツルメント(前場売値)がトン1万857ドルを付け史上最高値を更新した。世界的なショートスクイーズ(踏み上げ)が相場を押し上げた。銅建値は175万円の最高値を付けた。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金は高値更新が続き、10月にはトロイオンス当たり2800ドルを突破した。
2 東洋アルミとUACJ製箔、経営統合中止
日本軽金属グループの東洋アルミニウムとUACJグループのUACJ製箔の箔事業統合が今年10月に断念された。経営統合の実施条件が最終的に整わなかったことが主な理由。今後は両グループの箔事業として、日軽金側は発熱用途や医薬包装材向け加工箔、UACJ側は電池箔への注力を掲げた。
3 日本電解、民事再生手続き EV銅箔市況悪化で
日本電解の民事再生手続き開始が12月9日、東京地裁に認められた。EVバッテリー用銅箔で日米トップシェアを誇り増強投資も進めていたが、競争激化で米国工場の業績が悪化。米インフレ抑制法の影響による販売減などもあり借入金返済を見込めなくなった。負債総額は約148億円。新たなスポンサーの下での再起を図る。
4 東邦亜鉛が亜鉛製錬撤退、リサイクルに軸足
東邦亜鉛が12月、祖業の亜鉛製錬事業から撤退して鉛・亜鉛のリサイクル事業などに軸足を置く事業再生計画を発表した。資源事業の損失と亜鉛製錬を巡る事業環境悪化を受け、成長戦略を根底から見直す。阪和興業と業務提携を結び事業面で支援を受けるほか、アドバンテッジパートナーズなどから75億円の資金を調達する。
5 政府、金属盗難・不適正ヤードの対策に着手
政府が不適正ヤードや金属盗難対策に本腰を入れ始めた。不適正ヤードの問題には環境省が10月からヤード環境対策検討会を設置し、具体的な対応策を検討。千葉県や茨城県など自治体単位でヤード規制条例を制定・施行する動きも広がった。全国的に急増する金属盗難の撲滅に向けては警察庁が動き出し、9月から金属盗対策に関する検討会を開催。盗品の流通防止や関連法規制の在り方について議論を進めている。
6 三菱マテ、独スタルク買収 タングステン再生推進
三菱マテリアルはベトナム企業からタングステン製品大手の独HCスタルク・ホールディングを買収した。HCスタルクのドイツやカナダなどの拠点を活用し、グローバルなタングステンリサイクル体制を構築。HCスタルクは18年にタンタル・ニオブ事業をJX金属に売却しており、日本の製錬2社が欧州名門企業を傘下に収めることとなった。
7 廃バッテリー韓国向け輸出 5年ぶりに再開
鉛リサイクル原料となる廃バッテリー(使用済み鉛蓄電池)の韓国向け輸出が10月、再開された。韓国二次精錬業界の違法発覚と日本の法改正によって、約5年間にわたり全面ストップしていた。財務省貿易統計によれば、10月輸出量は630トン。今後は輸出業者が加わり、廃バッテリーの集荷競争が激化することも予想される。
8 山崎金属産業が西田金属を完全子会社化
大手非鉄製品流通の山崎金属産業は今年3月、同じ非鉄製品問屋の西田金属を完全子会社化した。西田金属は都内で数少ない銅板の在庫販売と切断加工を手掛ける会社。山崎金属産業はグループのネットワークと組み合わせてシナジー効果を図る。
9 スポット買鉱条件 鉱石不足でマイナスを記録
銅、亜鉛、鉛の鉱石不足から、製錬マージンとなる買鉱条件がスポットでいずれもマイナスを記録した。銅はコブレ・パナマ鉱山の操業停止が響いた。そのあおりで25年は銅の長期契約溶錬費(TC)の指標価格がトン21.25ドルと歴史的低水準になり、24年の80ドルから大幅に悪化。長契メインの日系製錬も来年は厳しい事業環境に置かれる。
10 電線・ケーブル品薄に メーカー新規受注停止も
建設・電販市場で昨年秋口ごろに始まった品薄感の拡大とともに、大手電線メーカーが相次いで新規受注・納期回答を見合わせたことなどにより需給が逼迫した電線・ケーブル。今年2月に一部のメーカーが受注・回答を再開して以降は徐々に解消され、現在は比較的落ち着きを取り戻している環境にある。ただし高圧品に関しては今も納期に最長で8カ月を要するなど、一部製品では依然として予断を許さない状況が続いている。