関東、弱材料が後退
アルミ二次合金メーカーとダイカストメーカーなどの需要家筋との間で行われていた、8月積み小口向けアルミ二次合金価格交渉(単月、後決め)は前月から横ばいで決着したもようだ。前月積みまで7カ月連続で値下げとなっていたが、自動車生産回復に伴う需要増や夏季休暇明け以降の原料高などが影響し、下落が止まったとみられる。
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関東地区は基本横ばい。今後のコスト高を見据え一部上げで決まったケースがある一方で、販売数量の確保を優先し値下げの動きもあった。足元では、合金の原料であるアルミスクラップが品薄で上昇しており、輸入塊の割安感は円安などから解消された。製品を取り巻く弱材料が後退しつつあるため、先行き価格は上昇に転じる可能性が高い。
9月積みについて、二次合金メーカーは「キロ10円上げは最低ライン」と話す。製品需要は改善しつつあるが、スクラップの発生増は見込みづらい。そのスクラップは、8月後半だけで5―10円上昇したものの、メーカーの集荷は芳しくない。
逆に、円安の進行によりスクラップが海外に流出する懸念が強まっている。中国の景気減速を背景に割安感のあった輸入塊も「損切りのような安値は消えた」(別の二次合金メーカー)。これまで輸入塊の安値に引きずられる形で一部生じた製品安の修正も図っていく。
中部、横ばいに集約
中部地区は一部で値下げも見られたが、月末に近づくにつれ横ばいとなっていった。原料高や需要増を背景に、市中の流れが変化してきたことが背景にある。直近のAD12・1の小口向け価格はキロ325―335円どころ。
自動車生産は回復傾向を示しており、ユーザー各社が持つ余剰在庫の消費も進んできており、スクラップ確保の動きが夏季休暇明けから進んでいった。加えて、為替の円安寄りで、輸出業者の買いが進んだことも原料価格の上昇につながっていったとみられる。
また、輸入塊の価格も円安の影響で高値に寄っている。そのため8月先決め段階では安値決着が見られたが、後決めでは横ばいに集約されていったもようだ。合金各社は、9月積みでは値上げを要請する構えを強めている。
関西、最大3円反発
関西は横ばいからキロ1―3円反発した。8カ月ぶりに下げ止まり、昨年12月積み以来の値上げとなった。原料のアルミスクラップ相場の急騰が背景にあり、需要も国内自動車生産の回復や二次合金ユーザーの在庫調整の進展などで徐々に上向いてきた。
国内塊と競合する輸入塊は、主力の中国産は現地景気の低迷や現地二次合金メーカーの投げ売りで安値の玉が流入しているが、円安基調を受けて割安感は薄れつつある。今月積みの見通しは、一連のスクラップ価格の高騰を背景に二次合金メーカーの営業担当者は「10円以上の値上げを要請していく」と語る。