アルミ二次合金メーカーとダイカストメーカーなどの需要家筋との間で行われた、10月積み小口向けアルミ二次合金価格交渉(単月、後決め)は、前月からキロ7円高から20円高までバラつきを見せたが、平均で10円ほどの上昇となった。だが、自動車減産で需要が期待ほど伸びなかったため月後半に向かうほど、交渉にも影響が出たもよう。
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関東 大幅値上げに難色
関東地区はキロ10円前後の上昇だった。15円以上があった一方で、1桁にとどまるケースもあるなど上げ幅はバラついた。二次合金メーカー各社は20円上げの方針で交渉に臨んだが、大幅な値上げに対し需要家側は難色を示した。10月積みで20円に届かなかった玉について、二次合金メーカーは「11月積みで修正していく」意向を示す。
合金の原料であるアルミスクラップ高の転嫁を図った。円安によりスクラップが海外流出し、国内塊シフトとともに製品需要は増えている。ただ「自動車の減産や輸入塊の上昇一服といった弱材料が、値上げに冷や水を浴びせた」(別の二次合金メーカー)格好となった。
10月積みは上げ渋ったものの製品の需要そのものは底堅い。引き続き、二次合金メーカーは値上げを要請していく。
中部 10円から20円上伸
中部地区はキロ10円から20円高まで幅広く動き見られた。当初はキロ20円近い値上げが想定されたが、自動車減産の影響から需要が低迷し、月後半に向かうに連れて上げ幅が抑えられた格好になっていった。直近のAD12・1の小口向け価格はキロ340―350円に上伸した。
合金各社は9月に入り需要が回復傾向を見せ始めたことや、アルミスクラップやベースメタルが品薄から高値に寄るなど原料コストが上昇していることを背景に、キロ20円高を唱えていた。
だが、10月になると雲行きが変わり、地場の大手自動車メーカーの生産台数が当初予想を下回り、日当たり1万台を割り込む減産となった。11月内示も減産が続く見込みのため、地区の合金需要は減速感を強めた。
ただ、原料となるアルミスクラップは海外からの引き合いも増えつつあり、ベースメタルも品薄のため続伸するなど原料高で、キロ10円以上の値上げとなったもよう。合金各社からは「原料コストが上昇しており採算は厳しい」との声が聞かれ、引き続き値上げを要請する姿勢を強めた。
関西 10円前後切り上げ
関西はキロ10円前後切り上がった。原料となるアルミスクラップ価格の続伸が背景にあり半年ぶりに上伸した。需要は自動車の減産で全体的に低調だが、円安による輸入塊高で国内塊の引き合いは堅調。足元の中国産の対日オファー価格はトン2200―2250ドルと軟調だが、輸入採算値は円安で国内塊と同じ価格帯にあり、扱い筋は「あえて輸入塊を手当てする向きも少ない」と話す。
今月積みの見通しはスクラップ価格が9月以降、続伸基調にあり、足元の11月前半の価格も5円超切り上がっているため、二次合金メーカー各社は再度、需要家に対して値上げを要請する意向を示す。