ロシアが主要生産国である非鉄金属の上昇が止まらない。ロンドン金属取引所(LME)のニッケルの現物は、前営業日比トン1万3195ドル高の4万2995ドルと暴騰した。3カ月先物は一時5万5000ドルに値を伸ばし、史上最高値を塗り替えている。アルミは初めてトン4000ドルを一時突破した。ロシアへの経済制裁による供給不安から、ショートスクイーズ(踏み上げ)が相場を大きく押し上げた。
週明け現地7日のLME相場は全面高となった。特に、ニッケルは2万5000―3万ドル近くで推移していた3月1週から、値位置を大きく切り上げた。現物セツルメント(前場売値)は一気に4万ドル台に乗せ、2007年6月以来の高値水準を付けた。3カ月先物の上げ幅は、1日としては過去最高とみられる。場外取引のカーブ取引では2年5カ月ぶりに錫の相場を上回った。
現在の在庫水準のみを相場の判断材料などにした場合「ニッケルは上下2万5300ドル程度。上値があっても2万9000ドルあたり」(マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘共同代表)が妥当とみられていた。LMEのニッケル在庫は4日時点で7万6830トンと、直近ピークから7割強も減少した。過去10年間では最も低い水準に近い。穏やかな生産と需要の中で在庫は出てくるが、現状は余った地金の出し入れではなく、不足を懸念し手当てを急いでいる状況にある。買いを仕掛けることで相場を高めに誘導するショートスクイーズが発生しやすい。
ロシアが主要生産国であるアルミにもショートスクイーズが入った。前場売値は前営業日比133・5ドル高の3984・5ドルと最高値圏での上値追いに拍車がかかった。在庫水準によって「何とか説明可能な水準は3400ドル」(新村氏)だと言う。
ニッケルやアルミに連れ高する形で、銅も最高値を更新している。トン264ドル高の1万730ドルと、昨年5月に付けた最高値1万724・5ドルを塗り替えた。
亜鉛も上昇が止まらない。前週末4日に約15年ぶりにトン4000ドル台を突破したばかりだが、週明け7日は4248ドルまで値を伸ばした。ロシアが主要生産国ではないものの、エネルギー高に伴う電力コストの上昇が相場を押し上げる。ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は一時バレル130ドル台と約13年8カ月ぶりの高値を付けており、騰勢は衰えない。