東邦亜鉛は7日の決算説明会で、売却を軸とする「資産構成の見直し」(山岸正明専務)を重点課題に挙げた。2019年4―9月期の連結赤字を主因にキャッシュフローや自己資本比率が悪化し、財務回復の「自助努力」(同)を急務とする。売却検討の対象には豪資源子会社CBHリソーシズの保有資産を含み、豪エンデバー亜鉛・鉛鉱山も入る。
丸崎公康社長は冒頭で非鉄スラグ製品の問題を陳謝。群馬県、高崎市の指導のもと、問題箇所の特定と撤去・回収作業を鋭意進めていると説明した。可能な限り20年3月期での処理費用計上を目指すが、現時点で全ての見積もりは難しく、亜鉛、鉛、銀の市況推移も見極めたいとし、通期業績予想の見直しを見送るとあらためて述べた。
4―9月期はフリーキャッシュフローが前年同期の黒字29億円から赤字69億円に悪化。営業キャッシュフローがほぼゼロの一方で、豪州の資源事業などへの設備投資は「淡々と進み、借入金を増やさざるを得ない状況」(山岸専務)だと説明した。4―9月期の自己資本比率は34・9%で前年同期から10・1ポイント悪化。D/Eレシオ(負債資本比率)は0・85倍から1・37倍に悪化した。
財務改善には「(自己資本比率の)分母の見直し、資産リストラ」(山岸専務)が急務だとし、山命間近のエンデバーの売却などを示唆した。エンデバーの深部鉱体開発の経済性評価は11月中旬か11月末に判明する見通し。経済性の有無にかかわらずエンデバー売却の可能性はあるが、売却損の発生懸念もあるため、時機を慎重に測りたいと述べた。