総じて堅調な推移を見せてきた伸銅品生産量だが、板条とそれ以外の品種で勢いの差が鮮明になっている。板条は銅、黄銅、青銅ともに依然として昨年並みかそれ以上の生産が続くが、銅管と黄銅棒はこの半年あまり前年割れが定着。品種により要因は異なるが、主要な需要先が「自動車」か「住宅」かの違いが傾向を分けている側面もうかがえる。
日本伸銅協会がこのほど発表した7月の生産速報では、全16品種のうち9品種が前年同月実績を下回った。過半数の品種がマイナスとなったのは2カ月連続だ。総生産量は0・3%減の7万606トンと、今年4回目のマイナスだった。
こうした傾向の中でも、板条系の品種はまだ強さが見える。黄銅条は1―7月の累計生産が、前年同期比3・5%増の6万2701トン(月平均8960トン)だった。銅条は6、7月とマイナスだったが、生産量としては高水準を保った。1―7月期は0・5%増の15万8396トン(同2万2628トン)とわずかに上回る。
いずれも、けん引しているのは車載用コネクター向けを中心とした自動車関連需要だ。スマートフォンなど弱電用途のイメージが強い青銅板条も、車載用のリレーなどに使われる量は多い。海外スマホメーカー向けで年明け以降は調整がありながら、1―7月期は0・4%増の1万9893トン(同2842トン)となっている。