2014年2月21日

一問一答 古河電工日光事業所/大雪被害で生産停止/平田雅治・日光事業所長 「原形に戻す」大目標に

――崩落時の状況を。

「15日午前8時半から11時にかけ、条の中間工程(熱間圧延・中間冷間圧延)、原料、超電導製品第2工場の3棟で、積雪により屋根の一部が崩落した。幸い人的被害はなかった」

――被害状況と復旧見通しは。

「最も大きいのは中間工程建屋で、約140メートルに渡り屋根が崩れ落ちた。公道が復旧し19日から構内に重機を入れて除雪を進めているが、崩落現場は安全面から立ち入り禁止しており、圧延機自体の損傷は把握できていない。被害があれば復旧に時間を要する可能性もある。建屋については、大手ゼネコンの現地診断を受け、復旧計画を作成してもらっているところ。このため、工期や費用はまだ分からない」

――稼働再開は。

「24日には社員が出社し、製品在庫の出荷を開始する。被害がない線・棒製品の製造工場は、安全確認して27日には通常稼働に戻せる見込み。条も溶解鋳造工程や仕上げ工程はダメージがないため、仕掛品在庫を使って下工程の稼働を順次立ち上げる」

――設備が復旧するまでの供給対応策。

「国内の複数の同業メーカーに、中間製品である素条の供給支援を要請している。需要家の品質認定や了解を得る必要もあるが、1カ月程度で外部調達の素条を使った生産を再開したい。オリジナル合金などは当社で鋳造し、熱間圧延だけを委託することも検討。汎用的な製品は、転注もお願いするかもしれない。中国でリン青銅を造る古河金属(無錫)を活用するのも選択肢の一つだ」

――韓国など海外メーカーからの調達は。

「営業や企画部門で今後の調達計画を立てると思うが、どこまで対象にするかはまだ何とも言えない」

――同業メーカーは余力に乏しそうだが。

「各社の状況は聞いていないが、具体的にわれわれの要望を伝えているところ。過去にも自然災害など不測の事態には助け合っており、支援体制は受けられる業界だと考えている。ただ、余力だけでなく品質条件、運搬の問題もあり、足元生産量の全量を代替調達するのは難しい」

――代替生産でユーザーの使用認定は得られるか。

「オリジナル性が高い合金など、1カ月で間に合わないものはあるだろう。ただ一般論として、製品特性を造り込む下工程は自社でできるので、理解は得やすいかもしれない」

――直近の生産量と在庫水準。

「月間約3200トンで、条は2800トン程度だ」

――一貫生産体制に戻すのが大前提か。

「現時点では元の形にすることを大目標にしている。事業所の従業員は600人前後で条は約400人が従事するが、雇用最優先で努力していく」

――超電導製品の生産への影響は。

「第1工場でどこまで補えるか、不足する部分は一部を外部委託するのか、現在精査中。需要家と今後の方策も協議している」

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