2011年3月18日

製錬各社が対策本部 復旧作業は「電力次第」

 東北、関東地方を襲った東日本大震災から、きょう18日で1週間目を迎えた。太平洋沿岸部に製錬所や電子材料工場がある非鉄製錬大手は各社トップを本部長とする対策本部を設置し、復旧に向けた作業を急ピッチで進めている。ただ、津波の影響で一度浸水した設備の復旧作業などが難航。不安定な電力事業や余震、福島県内では放射能問題なども絡み、操業再開時期などは見通せない状況となっている。

 銅製錬の小名浜製錬所(福島県)に約50%出資している三菱マテリアルは、週明け14日に矢尾宏社長を本部長とする対策本部を設置。三木眞常務と竹内章常務が副本部長、その他の常務も対策本部長補佐として、被災地に拠点のあるグループ全体の被害状況や、従業員の安否確認など被害状況の全容把握に努めている。復旧作業や業務支援などの機能も対策本部に集約し、震災後の復興に注力している。

 製造設備への外観上の大きな損傷がなくても、地震の影響で稼働時に突然停電したため、「実際に操業できるかどうか分からない」(同社広報)という。操業確認をしようとしても、停電していたり、通常の10%程度の電力しかない状況では、稼働状況の把握が難しい。このため、今後の復旧に向けた作業の進ちょくは「電力次第」(同社広報)と説明する。

 亜鉛年産11万トンの八戸製錬(青森県)に約85%出資している三井金属。15日に仙田貞雄社長を本部長とする「東北地方太平洋沖地震対策本部」を設置し、各事業本部が確認した被害状況などを対策本部に集約して、今後の対応策などを検討している。

 八戸製錬については、17日午前の段階で「被害状況の全体像はまだ把握できていない」(同社広報)状況。最初にパソコンや保安関係の設備、各種機材を動かす電源の復旧作業を行っており、「週内にこの作業を終わらせたい」(同)としている。

 ただ、こうした設備を稼働させるにも電力が必要になる。工場周辺の電気は復旧しているが、工場では一部の設備が海水に浸水したため、設備に付着した塩分などを除去しなければ、設備を稼働させることはできず、操業再開のめどは立たない状況だ。

 JX日鉱日石金属は、地震発生直後の11日に岡田昌徳社長を本部長とする災害対策本部を設置した。茨城県の磯原、日立地区や東北地方の子会社の操業は停止中。震災から1週間がたち、被害の全容が分かってきたが、余震などが続いているため、安心して工場建屋内に入り復旧作業ができない状況という。

 同社はまた16日に災害対策本部の下部組織として、復興に向けた「本社支援チーム」を立ち上げた。各事業部から補佐役含めて約30人がチームに入り、被害状況の把握や復興に向けた調査、資機材の調達などを行っていく方針だ。

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