2025年大阪・関西万博まで あと
21
日です

大阪・関西万博 いざ夢の舞台へ

 2025年大阪・関西万博の開催までいよいよ100日を切った。

会場は大阪市の人工島「夢洲」で、開催期間は4月13日から10月13日までの184日間。2005年に開催された愛・地球博に続き、20年ぶりに日本で開催される国際博覧会となる。

経済波及効果は経済産業省の試算で約2兆9000億円、入場者数は約2820万人を見込む。日本経済や大阪・関西の地域経済の活性化、ビジネス機会の拡大による中小企業の経営強化などの起爆剤としても大きな期待がかかる万博の見どころを紹介する。

理念と技術の粋「大屋根リング」

大阪・関西万博の会場のシンボルとなるリング状の木造建築物、「大屋根リング」。大阪・関西万博会場デザインプロデューサーで建築家の藤本壮介氏により構想された「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表した会場のシンボルとなる建築物で、2023年6月末に組み立てを開始し工事を進めてきた。



1周約2キロ、高さがおよそ20メートルの世界最大級の木造建築物となる。日本の神社仏閣などの建築に使用されてきた伝統的な貫(ぬき)接合に現代の工法を加えて建築しており、会場の主動線として円滑な交通空間であると同時に、雨風、日差しなどを遮る快適な滞留空間として利用される。

大屋根リングの屋上からは会場全体をさまざまな場所から見渡すことが可能で、リングの外に目を向けると瀬戸内海の豊かな自然や夕陽を浴びた光景、大阪の街並みなど、海と空に囲まれた万博会場の魅力を楽しむことができる。

15のアトラクション織りなす未来体験

2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会と12企業・団体で出展するパビリオン「未来の都市」。長さ約150メートル、展示面積約3300平方メートルと大阪・関西万博の中でも最大規模のパビリオンで、クボタや神戸製鋼所などが参加。博覧会協会が主体の「共通展示」とあわせ15のアトラクションを展開し、2025年より先の未来が体感できる。

パビリオンは「モアレ」と呼ばれる複雑なしま模様を特徴的な外観を持つ。昼間は白色、夜間はLED照明でオレンジや紫などさまざまな色に変化していく。大阪湾を臨む万博西側に建設し、リサイクル可能な鉄骨やTMトラスなどを採用した。

未来の都市パビリオンを設計した建築家の岡崎恭子氏は「パビリオンのテーマである『Society 5・0の未来社会』のワクワクする出会いや夢、そして持続可能な未来に向けたメッセージも感じとっていただきたい」と話す。

リユースマッチング事業

大阪・関西万博の取り組みとして注目が集まるのがリユースマッチング事業だ。2025年日本国際博覧会協会が主催する未来社会ショーケース事業の「グリーン万博」において、万博閉会後に発生する建築物やアート、建材・設備、什器・備品などの資源の有効利用を図り、サステナブルな万博運営を目指す。

「ミャク市」で資源循環

大阪・関西万博における会場資源のリユースのためにウェブシステム「万博サーキュラーマーケット ミャク市!」を立ち上げ、需要と供給をマッチングさせるサービスを提供する。大阪・関西万博を契機とし、今後の国内全体の施設設備のリユースの推進と、産業廃棄物の削減やサーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組む。

施設活用入札 閉会後に公募

各パビリオンや大屋根リングなどの主要施設については「ミャク市!」上に問い合わせ窓口を設置し、需要家候補からのヒアリングを行うとともに、建材・設備などのリユースについては「ミャク市!」上の入札システムで公募を行う。万博のシンボルである大屋根リングなどもリユースマッチングの対象となっている。企画・運営にあたっては大和ハウス工業やTREホールディングス、石坂産業、大栄環境、JEMSなどが協賛する。

国内では個人が簡単にモノの売り買いをするフリマサービスが定着する一方、資材などのリユースマッチングはほとんど行われていない。同協会は「いわば実験的にリユースマッチング事業を行い、将来的に同様な取り組みが盛んになれば事業採算性が向上することにより、今後目指すべき循環経済(サーキュラーエコノミー)に近づく」と期待する。

高所の設備や資材などの解体に足場が必要となり、リユースのための解体工事が高額になるケースがあるほか、解体費用の占める割合が高くなる安価な資材、リース建材を使用する建物などリユース対象外と判断した資材もあるが、「これらの課題を明らかにすることも大切になる」(同協会)と話す。

別子銅山を表現 植林を通じ学ぶ

住友館、森と共生

住友金属鉱山や住友電気工業、住友化学、住友商事などの住友グループで構成する住友EXPO2025推進委員会が出展する「住友館」。建築デザインは別子銅山(愛媛県新居浜市)をもとに連なる山々のシルエットを表現し、住友グループが保有する「住友の森」の木を活用している。

別子銅山は江戸時代に住友家が開坑し、以来住友グループの発展を支えてきた。「一本一本のいのちを大切にしたい」という思いから、住友館には端材を出さない合板工法を採用した。

パビリオン内の展示体験では、参加者が本物の植物やデジタル技術などを駆使し再現した森の中をランタンを片手に巡る。巨大な立体映像装置と風やミストで演出する「誰も知らない、いのちの物語」や植林体験を通して子供たちが環境のことを考えるきっかけを提供する。体験で植えられた苗は別子銅山の伐採跡地に移されるという。

「リボーン」テーマ ヘルスケア展示

大阪の知恵結集

大阪ヘルスケアパビリオンは「REBORN」をテーマに、産官学連携でオール大阪の知恵とアイデアを結集して「いのち」や「健康」の観点から近未来の暮らしを体験できる。期間中は府内の中小企業440社以上が出展し、毎週展示が入れ替わり技術力や魅力発信を行う「リボーンチャレンジ」も実施。各社の新技術や新製品を披露する。

主な展示体験の一つである「リボーン体験ルート」では「カラダ測定ポッド」を使って、「目」や「髪」「心血管」など、7つの項目を測定する。そのデータを基に生成した25年後の姿のアバターに出会い、その後にミライのヘルスケアや都市生活を体験できるブースをめぐることで、新たな自分へと生まれ変わるきっかけを提供する。大阪の食文化を発信する「ミライの食と文化」ゾーン、ミライのエンターテインメントが体験できる「XD HALL」なども展示する。